食べ物を床に落とした時「3秒以内ならセーフ」とか「5秒以内ならセーフ」って家族や友だちとのなかで使うことありますね。私の周辺では「3秒以内なら床に落とそうが、地面に落とそうがOK」となっていますが、海外では「5秒以内なら大丈夫」という5秒ルールが一般的なようです。
あなたは3秒ルール派、5秒ルール派?
せっかくの楽しみにしていた食べ物に限って、落としてしまう不思議な現象をカバーするこのルールですが、医学的にはいかがなものなんでしょうか?
何秒以内なら落とした食べ物でも安全かという医学的研究
実は3秒でも5秒でも医学的な論文がいくつか発表されています。医学的な「清潔」という概念からに厳格に判断した場合は正解は0秒なんですが、最近おばあちゃんの知恵的な民間治療に凝っている私としてはできるだけ昔から言われている「3秒以内なら大丈夫」という論文をかなりバイアスをかけて探していました。Aston Universityという英国の大学の Anthony Hilton教授が「5秒以内なら大丈夫だよ」と述べています(http://www.aston.ac.uk/about/news/releases/2014/march/five-second-food-rule-does-exist/)。
この人がAnthony Hilton教授です。
3秒じゃなく5秒じゃん、とか論文じゃなくてオンラインの広報じゃんと、との予想されますが、そこは大人の解釈でおおめに見てください、バイアスをかけて探したって言っているんですから。
食べ物を床などに落として5秒以内に拾い上げると安全らしい
この実験は絨毯、フローリングの床、タイルの床に食品を落として、その食べ物を3−30秒以内に拾い上げた場合、大腸菌・黄色ぶどう球菌がくっ付くか、否かという非常にざっくりとした方法で行われました。実験に使用されたたべものはトースト、パスタ、ビスケット、sticky sweet(ベタベタするあめかな??)でした。その結果、
- 乾いた食べ物(トースト、ビスケット)に落とした地点のバイキンが付着するのは100万分の1くらいであり、食べることに問題は生じない。
- パスタやベタベタする食べ物でも落ちた地点のバイキンの5万分の1しか付着しない。
- 短時間で拾い上げれば、食べ物として安全だと思われる
ということになりました。つまり、3秒ルールは都市伝説(5秒じゃん、との声は無視)でなく医学的に正しいことが証明されました!
ちなみにこの調査に付随してこのようなデータもありました。
- 87%の人が床に落とした食べ物を拾い上げて食べている
- 落としたものを食べている55%は女性だった
- 81%の女性が5秒ルールを採用している
このオッサンの研究の詳しい内容を知りたかったのですが、現時点ではペーパーにはなっていないので、これ以上詳しい情報が欲しい人はアストン大学の広報までご連絡ください、とのことです。 マスメディアが喜んで取り上げそうな話題を積極的に告知(正式な論文になる前に)するなんて、外国の大学や研究機関ってデモンストレーション上手なんですね。STAP小保方さんに割烹着を着せた理研関係者をあとになって非難した日本のマスメディアですが、海外では医学的な研究でも上手くマスメディアを動かすことってかなり重要視されていることなんです、実は。
当然、この意見に対する反論もあります
もちろん、この論文に対する反論もあります。というか以前、米国のClemson Universityのグループによって「Residence time and food contact time effects on transfer of Salmonella Typhimurium from tile, wood and carpet: testing the five-second rule.」(J Appl Microbiol. 2007 Apr;102 (4) :945-53.)という題名でサルモネラ菌と5秒ルールの関連を調べたちゃんと論文として発表されたものがあります。サルモネラ菌の場合は、5秒ルールは否定されました。この論文を意識してアストン大学の研究チームが今回の研究を行ったと思われます。アストン大学とクレムソン大学の結果は全く条件が違いますので、どちらが正しいか判定するの困難です。
私の場合は3秒以内に落として拾い上げ「ふっふうー」と息を吹き掛けて、表面に付着したゴミを取り除いてから口にする「おばあちゃんの知恵」をプラスしたものを採用しています。