日本では武田が製薬会社としては最大ですが、世界的に見ると売り上げで14位なのです。つまり、世界的な視野でみた場合、日本の製薬会社は中小企業。しかし、薬が売れる市場として見た場合、日本は大きなマーケットと認識されています。
先日のノバルティスの臨床研究論文でデータ操作が発覚がメディアを騒がせました。患者さん向けの資料ではなく、医師向けの資料が作られたデータで自社の製品の優位性を示すために使用されていました。バカなデータにダマされる医師は勉強不足とも言えます。
外資系製薬会社の問題
今度はある外資系製薬メーカーがシワを改善する注射薬の宣伝の為に、こんな広告宣伝を行っています。
これってあまりにもデリカシーの無い広告ではないでしょうか❗
シワを改善する画期的な薬なんですが⋯般若顔はないでしょ 怒!
この薬はシワを失くすために、製品名が治療名になっている一般の方もご存知の注射薬です。当院もこの薬のヘビーユーザーですが、こんな広告を打ち出す会社の製品を使いつづけて良いものなのか、院内で話し合っています。あなたがスマホなどを使用している間に表情シワができて、人からはこんな風に見られていますよ、という内容です。しかし、治療の対象は多くが女性なのに、それを表現する為に
「般若のお面」を普通使うか❗
日本の女性をなめるのもいい加減にしろ❗
という具合に怒りが込み上げてきます。この広告を企画した人が般若というのは「鬼女」を意味するものであり、嫉妬や恨みを表す能で使用されるということを知識として持ち合わせていたのか、不思議でしかたがありません。
当院ではほうれい線を「ブルドック」と呼ぶことは禁止されています
ただでさえ美容医療は敷居が高いと多くの方は思っていますが、意を決してクリニックに訪れます。非常にナーバスな状態ある患者さんに対して、少しでも気楽になっていただこう、親近感をもっていただこう、という気持ちでおでこのシワを「波平さんのようなシワ」とか、たるんだほうれい線を「ブルドックのようになっているほっぺた」なんて呼ぶのは余りにもデリカシーがない対応と当院ではスタッフ一同に指導をしています。
この広告に従えば表情しわに対して「般若のお面のようなシワですね」なんて言えるはずありません。
このシワのばしの薬は健康保険で適用できる?
この薬は全く成分は一緒なのに保険適用できるものと主に美容で使用されるものは違う会社が販売しています。保険適用できる病気は限られていますが、以前NHKが問題のある取り上げ方をしたので「NHKのボトックス治療は間違いだらけ?!」というタイトルでブログを書きました。保険適用の場合でさえこんな状況ですから、保険診療外である美容医療に使用されるものなのですから、もうすこし常識的な広告が出来なかったのでしょうか?
この般若広告の製薬会社のHPにある注射のポイントですが、いまどきこんな場所に注入しませんって、これじゃ表情筋を修正したの見え見えになります。
当院では15年以上前からこの薬を日本に代理店が出来る前から並行輸入をして使用してきました。厚生労働省が承認した医薬品で万が一トラブルが起きた場合は責任は医師だけでなく国も負うことになりますが、並行輸入をした場合は使用した責任は100%輸入した医師にあります。そのようなリスクを負ってでもより優れた治療法を多くの患者さんに行いたいという気持ちで美容系の医師は日本で活動してきました。
10年以上前と比較して美容医療もやっと敷居が低くなった状態を作り上げたのにこの宣伝はないぜ!
当院としてはこの会社に対して来週厳重な抗議を申し入れる予定です。