先日「世界一素朴な質問、宇宙一美しい答え」(ジェンマ・エルウィン・ハリス編)という子供の楽しい質問に世界の超一流の学者がわかり易く回答するという本を読みました。
私が以前『「しゃっくりを止める方法」医学的治療VS民間療法、一発で治すことができるのは?』というブログを書きましたが、この本にも「しゃっくりはどうして出るの?」という質問がありました。ちなみに私のしゃっくりブログを読んだ海外在住の友人から「おまえのブログ、役にたったよ」とお褒めのメールをいただきました。
話は飛びますが、不思議なことにあくびって一緒にいる一人がしだすと明らかに周りにいた人もあくびを連発しだしますよね。これって「その空間が酸欠状態になるので、あくびがでる」という説明が一般的ですが、皆さんそれで納得しますか?
残念ながら「あくび」に対してはこの著書に記載はありませんでした。さらにペットの愛犬にもあくびがうつるということご存知でしたか?
あくびは伝染ではなく、共鳴らしい
あくびは「うつる (伝染する) 」ことを、英語では「共鳴 (sympathetic) 」とか「伝染性 (contagious) 」と呼んでいます。基本的に原因ははっきりはしていませんが、とにかく「うつる」ことは事実ですよね、幾つかの説を列記します
・酸素欠乏説
・集団的な直感説
・動物間の眠る時間を知らせるためのサイン説
・求愛行動説
などなど多数のあくびの原因に対する説があります。今回、人間と犬の間であくびがうつるか?という面白い論文を見つけましたのでご紹介します。「Familiarity Bias and Physiological Responses in Contagious Yawning by Dogs Support Link to Empathy」(PLoS ONE 2013;8:e71365)といいうタイトルで「犬のあくびの伝染と親密さと生理的反応の関係」って感じの内容です。
知らない人のあくびは犬にはうつらない
実験は至って単純です。25匹の犬のまえで親密な関係にある人と無い人にあくびをさせてそれが犬にうつるのかを判定しました。犬には心電図が装着され心拍数などを測定しています。その結果は
上記論文より
当然の予想されたように、親しみをもった人のあくびが犬にうつりやすいことが観測されました。
人間の歪んだ顔に対して犬がストレスを感じてあくびをするという説があるようですが、あくびがうつった犬の心拍数の増加は認められませんでしたので、ストレスあくび説は否定されました。
人間も犬もあくびがうつるポイントは「共感」です
今回の実験は人間と犬との親しさというよりは「共感」によってあくびがうつる、という主張をしています。赤ちゃんの場合、2歳くらいまでは一番親しみをもっている母親のあくびでもうつらないという話もありますので(http://kenko100.jp/articles/130611002305/より)、4歳くらいからうつる傾向が見られる為に、単に親密度というよりは大脳皮質の発達と関連が強い「共感」によって引き起こされていると考えられます。つまり、感情を共にする⋯共感ですね、のと密接な関係があるということです。愛犬家のみなさま、あなたのあくびが愛犬に感染するか、しないか、ぜひお試しください!
「家族にさえうつらない」という方は今までのあなたの生き様を見直した方が良いかもです。