男性更年期障害は治療法があるけど、エクオールは女性の更年期障害を救えるか?

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女性にとって更年期障害はいつかやってくるいや~な症状です。

でもこの更年期障害が男性にもあるということが多くの人に知られるようになってから数年しか経過していません。

男性の更年期障害は決めてがあります

更年期障害の原因としてテストステロンの低下が考えられますので、ホルモン補充療法で今まで心療内科にかよっていた人が泌尿器科を受診するようになっています。はっきりと効果が確認できますので、患者さんの治療に対するモチベーションも高くなり相乗効果的に治療実績を各施設であげています。

しかし、女性の更年期障害は昔から知られていましたが、治療法の選択肢が多い反面決定打に欠けるためか、長期間この症状に苦しめられいる人が多いのです。

更年期障害の女性_-_Google_検索

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エクオールという聞きなれない成分が更年期障害を救う?!

色々な治療をしてきたが一向に効果が現れない人に朗報があります。イソフラボンが女性の更年期障害に効果があるとされて大ブームが起きましたが、効果がある人とない人がハッキリ分かれていました。その原因として大豆などに含まれるイソフラボンを腸内細菌がエクオール(Equol) という成分に代謝され、このエクオールが更年期障害にまつわる症状を治す可能性が出てきています。

残念ながらこのエクオールを作り出す力を持った腸内細菌叢を持っている人は50%くらいなので、いくらイソフラボンを食べても一向に効果が出ない人がいるのも納得できます。

メタボにも効果があるこのエクオール

エクオールがメタボリックシンドロームにも効果があるのでは、という論文が幾つか医学専門誌に投稿されています。日本語で書かれたものは「大豆たん白研究」Vol.11 (2008) くらいしかありませんでした。これは医学専門誌ではないので信頼度が無い、などというつもりはありませんけど、私は医師ですので医学専門誌にどうしても目がいってしまいます。確かにメタボに効果がはあるようです。

いいことばかりではなかったエクオール

このエクオールを調べていると、ネット上ではこの成分を含んでいるサプリの広告やヨイショ記事が目立っていて医学的に信頼度の高い記述を見つけるのに一苦労してしまいました。以前もサプリ業界の勉強熱心さはブログに書きましたが、本当に素晴らしい。英文で書かれた医学論文のデータベースにアクセスして、エクオールを検索したところ嫌な論文がトップに出てきてしまいました。そのタイトルは「The soy isoflavone equol may increase cancer malignancy via up-regulation of eukaryotic protein synthesis initiation factor eIF4G.」となっていて簡単にいうと「大豆のイソフラボンのエクオールはがんの悪性度を増加させる」とのことです。

PubMed_Central__FIGURE_5___J_Biol_Chem__Dec_7__2012__287_50___41640–41650__Published_online_Oct_24__2012__doi_ 10_1074_jbc_M112_393470

男性更年期障害に対するホルモン補充療法も前立腺がんがある場合はその成長を促進してしまうために禁じ手となんていますけど、前立腺がんの存在は簡単な血液検査でかなりの精度で予想することが可能です。女性が安易にこのエクオールに更年期障害の治療として飛びつくのはもう少し疫学的なデータがそろってからまでお待ち頂いたほうがいいのではないでしょうか?

女性の更年期障害は決定打はありませんが、治療法の選択肢も多いのでまずは婦人科の医師に相談して、治療法を提案してもらいその際に「先生、エクオールってどうなんでしょうか?」とお尋ねください。男性の更年期障害はたまたま原因と治療法が直結していましたし、原因となるテストステロンもリスクとなる前立腺がんも血液データで明確になりますし、他の選択肢がありませんのでホルモン補充療法が王道であると言い切れます。

男性の方がやっぱり単純なんですね。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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