ダイエットのための「キャビテーション」って短時間で効果が出るんだろうか?

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キャビテーションって言葉は物理学用語であって、その現象を簡単に説明することはかなり面倒というか、難しいのですが、美容用語として使用する場合は簡単です。超音波を使って脂肪を減らそう!と言う意味ですので、正しい専門用語を美容業界に問いつめてはいけません。

冬にためこんだ脂肪をキャビテーションで減らせるか?

以前ブログでその辺りをツッコンで見たのですが、リケジョや理系のオッサンからは「その説明じゃね〜」とアドバイスを頂きました(汗)。今回は美容エステなどで当たり前のように使用されているキャビテーションによるダイエットというか、痩身について考えてみます。

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超音波で脂肪細胞を破壊することは可能です

超音波を使用して組織を破壊することは医療機関で手術に使用されることがあります。余分な贅肉を失くす為に当院でもライポソニックスという医療機器を使用していますが、これを「キャビテーション」とは呼びません。高密度焦点式超音波治療法( High Intensity Focused Ultrasound)という呼び方をしますが、単に超音波を使用したわけではなく、これをレンズの様なものを使ってパワーを一点に集中させて脂肪細胞を破壊するシステムです。

部分瘦せには非常に効果のある治療法なのですが、治療にはあるていどの脂肪の厚みが必要なため「二の腕」などは対象外になってしまいますし、治療中はチョッと痛みがあります。エステでも超音波で脂肪を破壊することを「キャビテーションによるダイエット」と称していますが、治療効果には疑問が残ります。

エステのキャビテーションで効果があっても単にマッサージの効果じゃないのかな

私はエステを頭から否定するつもりは一切ありません。リラックス効果は十分にありますし、人に体を触ってもらって体調が良くなることはタッチセラピーとしてあり得ます。でも、瘦せたいという希望を実現させる為には超音波によるキャビテーションは必要ないんじゃないの。

太ももやふくらはぎは冷え性の女性は特にむくみやすい部分なのですが、これは重力の影響によって体液が下に集まってしまう現象なので防ぐ方法としての決定打は少ないのです。心臓がポンプとして下半身の体液をくみ上げる力がありますし、体液を押し出す力もありますが、細胞と細胞の隙間に溜まってしまった余分な体液は足を動かすことによって血管内に吸収されるように人間の体は仕組まれています。これを利用した方法としてマッサージがありますが、リンパマッサージなんて言葉を使用しているエステは信用ができません。マッサージをすることによって下半身にたまりこんだ体液を血管系にもどして、むくみを解消することは可能ですが脂肪まで失くすことは出来るわけがありません。

もしもマッサージで脂肪細胞を破壊していたとすれば、それは明らかに他人の体に対して物理的に影響を及ぼしているわけですから、エステで行った場合医師法違反になってしまいます。

実際にキャビテーションをエステで試したところ、短時間で効果が⋯笑

キャビテーションによる下半身太りを解消するとのふれこみのエステを体験した方の話によると、ダイエットマシーンとして超音波を発振する機械を下半身に当てて「体があたたかくなり、だんだん効果がかんじられますよ」と言われながら数分で治療?は完了。その後、丹念なマッサージが開始されたようです。

効果測定のために施術前に太ももとふくらはぎの太さをメジャーで測定、そしてマッサージ後にふたたび測定。その二度目の測定の際はそれこそメジャーを締め上げんばかりの力でギューっと太ももに食い込む勢いだったそうです。その結果「あっ、2センチも縮まっていいます、ほらスッキリ下半身がしましたね」だってさ。

周囲が2センチ縮まったということは、太ももを円と考えると直径で6ミリくらいしか細くなっていませんよ。

日本人の平均的な身体 – 痩せすぎの人が太る方法

http://yasesugi.justhpbs.jp/heikin.html

このデータによれば日本人の女性の平均的太ももの太さは50センチはあるようですから、2センチ減ったくらいでは誤差の可能性のほうが大きいと通常は考えます。このエステのキャビテーション痩身に挑戦した方も、翌日には既に元の太さに戻っていたそうです。

夏に向かって余分な脂肪をなくす為には

下半身だけを瘦せるためにはそこの部分の脂肪細胞をなくさないと実現しません。細胞をなくす為には脂肪吸引と言う方法もありますが、あまりにもリスキーです。脂肪融解注射という薬品を使った方法もありますが、一気に広範囲を治療することは難しいとされています。

現在、医療機関ではライポソニックスを使う方法や冷却する方法が安全かつ十分な効果をだす治療法とされています。せっかく、細くなった下半身ですから運動によって筋肉量を増やせば残りの脂肪細胞が大きくなって元にもどる心配がなくなりますし、食事も少し気をつけていただければスッキリしたボディで夏を迎えることができます。

ぜひ一度当院のスタッフにエステに行かせて、翌日に「もとの太さになってしまいました」と連絡させてみたいです、なんて対応するんでしょうか?さすがに「リバウンドです」とは言わないでしょうけど。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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