最近おばあちゃんの知恵的な民間療法にハマっている私ですが、とうとう「気功」にまで研究の対象を拡げてしまいました。
民間療法にハマったらついに到達しました、気功まで
私のようなおっさん世代はノストラダムスの大予言、UFO, ユリゲーラーなどの非科学的だけどあったら凄い!というものに対する免疫が結構あります。鉄腕アトムやウルトラマンシリーズによって科学技術の素晴らしさに憧れて、更には究極のアポロ11号の月面着陸をテレビで見た世代です。その後の疑似科学ブームがインチキであることにショックを受けながら、心の底では「こんな不思議なことが本当にあったら」とチョッと期待をしている部分も多いにあります。
しゃっくりを止める民間療法やふくらはぎマッサージなどの人に健康面・金銭面で害をあたえることがなく少しでも健康に役立つものは、ぜひ皆さんもお試しください、といえますが「気功」はマズいっす。
医学論文に掲載された気功の効果?
ある気功の一派は自分たちの治療の効果が学会誌に掲載されているし、西洋医学を否定するものではないので現代医学と気功を組み合わせて、難病の治療を行っているとのことです。1970年代のオカルトブームの後半戦に日中友好ムードとあい重なって中国4000年の歴史的な不思議な治療法として気功は日本に登場したとの記憶があります。
「気」を送ることで病変部を治療するなんて、不思議だけどあったら良いな的にその当時考えたのですが、科学的実験に耐えうるものは一切ありませんでした⋯つまり、インチキ。でも、今回研究対象とした気功の一派は科学的な研究の対象となって、論文にまでなっているというから驚きじゃないですか!早速、論文を収集しましたが、その結果ガッカリ(やっぱり)。ハッキリいって同人誌レベルの学会誌オンリーに掲載されていて、さらにその学会誌も自分たちで設立した学会が発行しています。
人体科学14−(2):1−6,2005より
このような論文が10本くらいありましたが、科学的に気功の影響を測定しようと言う気持ちは結構なことですが、実験というか、データの取り方や分析が私たちが一般的に科学と呼ぶものとはかなりギャップがありまして、どちらかというと哲学とか思想を分析したような内容になっています。
執筆者の中に医療関係者も当然含まれていますので、この科学的に分析しようと積極的なグループに対してなぜもう少し科学的な研究計画を提案しなかったのか、専門家の責任も大きいと思われます。STAP細胞の小保方さんの正しくない論文を事前に指摘しなかったというか、見抜けなかった理研の上司と同じですので、私が医学サイドに立って考えると気功グループを非難するわけではなく、指導的立場にあった鳥取大学のセンセイを非難しているのです。
気功が文部科学省の研究助成金を受け取っている
この気功グループの研究は文部科学省の科学研究費助成事業の対象になっています。だからといって国が気功の効果を認めたわけではありません。
科学研究費助成事業データベースより
この気功の研究に370万円の助成金が税金から支出されています。これを非難する気持ちは一切私にはありません。
民主党政権当時、アホが「一番じゃなければいけなんですか?」とスーパーコンピューターの開発・研究予算にケチをつけました。スパコンって世界中のものは軍事施設にあって、平和な研究施設にあるのは日本だけです。海外では核爆弾の実験を実際には行わないでどのような影響があるか、などを計算する為にスパコンは使用されていますので当たりまえですけど。
世の中の不思議なことは沢山ありますし、今は役立たないけど将来には世界を変える様な現象の解明など、一般企業では採算性があわないし、大学でもそのような研究に予算を回すことは難しい研究をする為に、科学研究費助成事業が存在するのは未来の日本にとっては必要不可欠なのです。今回の気功もせっかく科学的な論文を書くなら、科学的な研究計画をしっかり立てないとそれこそ税金の無駄使いになってしまいます。