IHMEってご存知ですか?
世界中の健康事情を調べている機関でInstitute for Health Metrics and Evaluation(IHME) というものがあります。保険指標評価研究所と日本では呼ばれています。そこのHPを見ていると面白いデータの宝庫です。例えば世界中の国の死因やかかりやすい病気などが簡単に調べられます。その中で中国についての情報を見ていて変なグラフが見つかりました。
中国人の子供の死因にショック
IHMEのサイトの中にGlobal Burden of Disease (GBD) Visualizations( http://www.healthdata.org/gbd/data-visualizations )というものがあり、様々な健康に対するデータを簡単に見やすい工夫がなされています。ご興味のある方はぜひご覧ください。そこを弄繰り回していたら上記のグラフが出てきました。向かって左から4番目の棒グラフは1-4歳の子供の死亡原因です。一番面積を占めているのが青色の部分です。この青色はNutritional deficienciesつまり栄養失調なのです。小さな子供の死因のトップが栄養失調とは⋯絶句。
気になる中国人の平均寿命は
このサイトを見てショックを受けたので、色々な資料を探して中国の健康調査を勝手にしてみました。
- 中国人の平均寿命は約76才
- ここ20年間で小児の早期死亡が80%近く減少している
- 感染症による死亡が60%減少
- 脳卒中・心疾患・がんの発生率が上昇
- 交通事故死が上昇
などの情報が得られました。The Lancet, Volume 381, Issue 9882, Pages 1961 – 1962, 8 June 2013 「Policy dialogue on China’s changing burden of disease」などを参考としました。
中国でも生活習慣病が問題に
1990年代は死因の7位であった心疾患が2010年のデータによれば、脳卒中に次いで2位になっていました。その原因として考えられるのは「偏った食生活」「塩分の取り過ぎ」「喫煙」など日本でも生活習慣病に気を付ける点と全く同様となっています。
漢方薬だけじゃ増加は抑えきれない状況です
交通事故死が激増
中国の交通事情というかマナーの悪さは広く知られているところです。交通事故によっての怪我が原因で死亡する人は1990年には10位だったのが、2010年には4位になっていることも驚きの結果でした。
とにかく事故は派手です
他の資料では狂犬病による死者もでていました
日本では1956年以降国内で狂犬病は発生していません。例外的に海外からの帰国者による狂犬病の発生がその後2例あっただけです。
感染症は減っているけどエイズは増えている
中国では1985年に初めてエイズの患者さんが出ました。2009年にはなんと74万人が感染者または発病者でした。
実は恥ずかしながら日本もエイズ・HIVの感染者は増加しています
ちなみにアメリカでは急激に減少しています
2013年現在、日本は先進国の中で唯一エイズ・HIVが増加しつつある国です
中国の今後の健康状況
中国においては個人の生活による病気は明らかに増加しています。中国の政府が健康対策をどのように計画して推し進めているのかに対する情報は得ることができませんでした。栄養失調で亡くなっている小さな子供が多いのは事実ですが、広い国土ですので限られた地域で極端に偏ったデータである可能性もあります。驚異的な経済成長の鈍化が指摘されている中国ですが、先進国と呼ばれる各国同様に生活習慣病の蔓延が今後問題になってくると思われます。また経済成長の陰に隠れて子供が栄養失調が原因で多数亡くなっている事実も考えに入れると「アンバランスに成長している大国」としか表現できませんでした。