お好み焼きって具として、豚肉・イカ・卵・そして小麦粉と実はアレルギーを起こしやすい食材が沢山入っている食べ物ですね。しかし、お好み焼きを食べて一般的に食物性のアレルギーは検査で検出しなかったのに、重傷な場合はアナフィラキシーショックを起こした症例が報告されています。
本記事の内容
よくよく考えて見るとあり得ます、アナフィラキシーショック
なぜ、お好み焼きでアナフィラキシーショックを起こしたのか?
よくよく調べてみるとお好み焼きの粉の中にいた「コナヒョウダニ」と呼ばれるダニが原因だったそうです。
ホットケーキによる同じような症例はOral mite anaphylaxisとかPancake syndromeと海外では呼ばれています。
海外ではわりと知られた現象らしいのですが、恥ずかしながらもし私がお好み焼きでアレルギー症状を起こした患者さんを診察した場合、まず最初に「具」を疑ってしまいます。
粉もんでのアレルギー、日本での報告例
「Pancake Syndrome」という題名が面白かったので、以前私はWorld Allergy Organizationが出しているWAO Journal May 2009でこんな病気があることは知っていました。
詳しく調べてみると1993年頃アメリカで最初に報告され、日本でも1996年には報告されていたようです。
海外での症例報告です
上記論文より引用
この様な症例が日本でもかなりの数報告されだしています。日経メディカルの8月号によりますと、はらだ皮膚科クリニックの原田医師が経験した例はこのようなものだったそうです。
47歳の男性が飯蛸、めかぶ、山芋、キュウリ、豚肉入りのお好み焼きを食べた直後からのどの違和感などを感じだし、その後呼吸困難に陥って救急外来を受診。病院で一般的にアレルギーを起こす物質に対してIgE検査を行いましたが全て陰性だったそうです。
入院して治療を受けた後、原田医師のクリニックを受診しました。原田先生は患者さんにお好み焼きの粉も持参させてこれを検査したところ、陽性反応を示しました。
更にダニ類に対してアレルギー反応を起こす可能性を考慮してダニ類のIgEを検査したところ「ヤケヒョウダニ」「コナヒョウダニ」に対する反応が5+と強く出たそうです。さらに先生はお好み焼きの粉を顕微鏡で調べたところ多数のダニが発見されたとのことです。
ちなみにお好み焼きの粉は使用期限を8か月も経過していたそうです。
単純なアレルギーですが原因が予想外です
この様に病院で原因を見つけることができなかった病気を開業医、私が良く使う表現ですと「町医者」が見つけることも有るのですよ。
原田先生の様な勉強熱心で、追及心の旺盛な町医者がいてこの患者さんは原因が特定できてよかったと思います。今後、注意さえすればてお好み焼きが食べられますのもね。
アナフィラキシーショックを防ぐために、お母さんにお願い
農研機構食品総合研究所の宮ノ下氏によると、お好み焼きの粉は単純な小麦粉ではなく海産物やアミノ酸が含まれているために、ダニが増殖するには好環境らしいのです。パンケーキだけでなく料理にも多用されるパンケーキミックス、パンケーキの素にも色々な美味しさを出すための成分が含まれていますから小麦粉単味よりはダニが増殖するリスクは高いかもしれませんね。
こんなに沢山種類があるのですね
できればお好み焼きを作るときは小麦粉のお母さん独自の隠し味を入れて、その都度使用した方が安全だと言えます。どうしても使い切らない場合は、厳重に密封して保存してください。そしてなるべく早めに使い切りましょう!
お父さんにご注意、冷蔵庫はお母さんのタイムマシンです
この記事を見てご自宅の食器棚や冷蔵庫の中の食品類の使用期限をチェックしないでください!ビックリするほど使用期限が過ぎた食品類が出てくるはずです。
なんせ、私はもう中学生になった子供の瓶詰の離乳食を昨年冷蔵庫の奥深くから発見しましたもの。
なぜか薬を冷蔵庫に保管するという不思議な行動を取る女性にとって冷蔵庫は「タイムカプセル」なのです。その当たりを指摘すると家庭内不和の原因になりますので、見つけ次第そうっと破棄してくださいね。