寝る子は育つとお父さん、お母さんに子供の時言われましたよね。
もちろん成長ホルモンの分泌を考えると間違いない事実です。しかし、肥満に限って考えるとどうも違った結果がでてきました。
ことわざと反対の結果がでています。
寝ない子は肥満になる
修行中の相撲取りはとにかく「食っちゃ寝、食っちゃ寝」をすることによって体を大きくすることが知られています。
しかし、ペンシルぺニア大学のJonathan A. Mitchell, Daniel Rodriguez, Kathryn H. Schmitz and Janet Audrain-McGoverらによる研究で全く逆の結果がでました。
アメリカの小児科学会の論文に載っていました。Pediatrics 2013;131;e1428; 以下のデータはこの論文よりお借りしました。
実験の方法と結果
ハイスクールに荷葉1390人を3年間追跡調査したものです。その結果睡眠時間とBMIの間に高い関連性が認められました。
- 睡眠時間が増えると肥満は低下する
- 睡眠時間が一時間増えるごとに肥満率も低下する
- BMIが高い人ほど睡眠時間が長くなると肥満率が低下する
つまり、長く寝ている人の方が太らないという結果になりました。
相撲部屋の若い衆は間違っている可能性が無くはないです。
当然予想される突っ込み
ゲームをやっている時間とかテレビを見ている時間とかにも、このようなデータは影響を受けるのでは?という突込みが入ることは予想されます。
さすがに立派な論文だけあって、遊ぶ時間や身体活動時間を含めて調整したあとのデータを発表しているのです。アメリカでは40年間で肥満の若者が3倍以上になっていて、国民の健康はもとより医療費の増加をいかにして防げるかが重要な課題とされています。
今までも睡眠時間の短さが青少年の肥満に影響していることはいくつかの論文で発表されていました。しかし、テレビを見ている時間とか身体活動時間などのデータに影響を及ぼす事象を除外した研究は有りませんでした。
今回の論文はこれらの因子を除外しても睡眠時間と肥満は強い関係があることを示したのが重要なポイントです。
さらに期待できること
今回の研究はかなりアメリカ政府にアピールしている様子が伺えます。18歳の睡眠時間が10時間とすると8時間睡眠の場合に比べてBMIが25を超える人が4%低下するなんて予想もしています。単純計算すると50万人の肥満者がいなくなると強調しています。こんな論文の書き方を日本人も見習った方がいいのではないでしょうか?
くれぐれもオッサン、オバサマは間違えないように
今回の結果はあくまで、ハイスクール9年生から12年生、日本でいえば中学3年から高校3年の青少年に対する研究報告です。ですので、大人の場合、睡眠時間が長ければ長いほど肥満が解消できる、なんてこと一言も書いてありませんし、私も行っていませんのでご注意ください!
じゃぁ、どうすればよいか?
アホナ考察が行われています。
睡眠時間を確保するために学校の始業時間を遅くしよう!
これって少し変じゃない、だって学校の開始時間が遅くなれば当然子供たちは寝る時間を遅くしますよ、J.A.Mitchell博士。