プロスポーツ選手がにんにく注射を打ちながらシーズンを乗り越えたとか、スランプが解消したとかまことしやかに伝わってきてかなりの年月が経ちます。
にんにく注射って?
にんにくは疲労回復に効果があるイメージがあるのですが、それぞれの治療機関によっては様々なビタミン剤やプラセンタエキスなどを調合して治療を行っているようです。にんにく注射のにんにくたる所以は注射をするとにんにく臭が口腔内に漂ってきて、体臭もにんにく臭くなることから来ているようです。アリナミンもビタミンB1を中心に色々な成分が含まれています。
しかし、現在ではアリナミンの注射だけでは流石に患者さんも満足しないくなってきているために、様々な薬品を各自の工夫で治療に使用しています。
当院でもやっていますが効果は⋯
医学的な効果の裏付けは非常に苦しいものです。確かにアリナミンという注射薬が医療機関での使用が許可されていますが効能となると
- ビタミンB1欠乏症の予防および治療
- 食事から摂取が不十分な際の補給
- 脚気
などと案外不明瞭な病気が効果・効能にあげらています。確かに一般薬局で購入できるアリナミンのシリーズも肉体疲労時に、なんて広告しているようです。
ということは注射をすればもっと効果が出るだろうと期待するのは患者さんにとっては当たり前の考え方で、医師サイドもそのような思考回路であっても不思議はありません。
ビタミンB1の構造式です
医師の間ではにんにく注射は効果が無いという人と、でも患者さんは効果を感じているからいいじゃないという意見に分かれています。
エビデンスといわれると心細くなります
じゃ、確実に研究された論文があるのか?というのがいつもの私の思考回路なのですが、自信を持って発表出来る論文はまだ入手できていません。しかし、世界中の論文を探していたところ面白い文献を見つけました。
精神科医らが研究したものです。 The Effect of Methylated Vitamin B Complex on Depressive andAnxiety Symptoms and Quality of Life in Adults with Depressionという題名です。ビタミンBがうつ病に効果があり、生活の質を高めるという内容です。 ISRN PsychiatryVolume 2013, Article ID 621453, というオープンスペースの論文投稿サイトにありましたので、あまり格調高いものではないような気もしますが、面白い文献なのでご紹介します。
なお、このサイトを管理しているのはなんとエジプトの様です。ニューヨークにも管理事務所はあるようですが、決してエジプトだから医療後進国なんておもっていたら大間違いです。
エジプトは泌尿器関連の手術・症例がメチャクチャ多いことでも知られています。理由は住血吸虫とういう病気が原因で膀胱がんが多いのです。さらになんとエジプトは泌尿器の手術を数千年前に行っていた記録もあります。⋯エジプトの話が長くなりましたのでこのあたりで本題に入ります。
ビタミンBで鬱が改善
この論文はマイアミ大学の人が書いたものです。アメリカ成人のなんと15%がうつ病にかかっており大問題である、そこでMax Stress Bという サプリを服用させると、どの様な結果が得られたか、という少し胡散臭い論文でした。
- 対象者は男女あわせて60人
- プラセボ薬も使用した
- 期間は60日間
- 治療する側もプラセボか否かをわからなくする二重盲検試験かは不明
その結果は
となりました。 解説しますと、プラセボに比べてうつの状態が軽くなったと評価したようです。縦軸の数字が小さくなればなるほど症状が軽くなったということらしいです。
強引な解釈
この文献を強引に解釈しますと、
- 元気がない人が元気を取り戻す働きがビタミンBには期待が出来る
- スランプに陥って滅入っているスポーツ選手にはビタミンBは効果があるかもしれない
- 精神的に不安定な人にはビタミンBは期待ができるかもしれない
という可能性を否定することはできないと思います。医学的ににんにく注射は果たしてどの様な効果があるのか?という疑問にはハッキリは答えがでませんでしたが
少なくともプラセボより効果があるとはいえる!
で今回の考察を終えます⋯チョッと消化不良です。