糖尿病って名前から砂糖を取り過ぎると肥満になって糖尿病になるイメージを持っている人が多いと思います。
じゃ、砂糖自体が糖尿病になるか、という疑問に対しての解答は実はハッキリしていませんでした。
砂糖→肥満→糖尿の図式
以前、おふざけで砂糖を庇うブログを書いたのですが、まずい立場になって焦っております。
砂糖の供給量と糖尿病の関連って、当たり前のようで実際に論文として成り立っているものはなかった、という盲点を突いた研究です。(摂取量ではなく供給量ですから注意してください)
この人達のデータの処理の式は次のように考えています。
これはハッキリ言って理解しにくいので、簡単に説明させて頂きます。間違って解釈していたら教えて頂けると非常に勉強になります。
データの取り方が鋭い
PLos ONE 2013:8:e57873に今回の研究が掲載されています。
The Relationship of Sugar to Population-Level Diabetes Prevalence: An Econometric Analysis of Repeated Cross-Sectional Dataより引用
通常は砂糖の摂取量を調べるところですが、Sanjay Basu Drらは配給量と糖尿病の有病率の関連性を検討しました
・配給量 FAO (国際食糧農業機構)の過去10年間175か国を対象
・糖尿病 IDF (国際糖尿病連合)のデータから20~79歳までの有病率
この中の鋭いところは砂糖の摂取量を調べられる国際的なデータが無いために、消費量でなく供給量で測定した、という合理的な考え方です。この研究が100%正しいとは限りませんが、もともと基準となるスケール・メジャーがないのですから、彼らの手法に反論していくには、かなりの苦労が必要となります。
結果は砂糖の配給量と糖尿病は関係があった
データの解析方法は無茶苦茶難しいですので噛み砕いてお伝えします。ハッキリとと糖尿病の有病率の上昇は砂糖の配給率と関連がありました。砂糖150カロリー=糖尿病有病率1%上昇
の図式が明らかになりました。単純に言うとソフトドリンク一本の消費で糖尿病は1%増えるという解釈もできます。
今回の研究だと例えばすでに糖尿病である人の砂糖摂取量を調査してもかならず、肥満の人って甘いものを求める傾向があるからね、なんて反論がでるのですが、この反論ができないくらい長期間のデータを対象にしたことです。
ここからが重要です
砂糖で糖尿病は増えるのですが、他の食べ物150カロリーに置き換えた場合は糖尿病の有病率は0.1%しか上昇しませんでした。つまりカロリーと糖尿病はあんまり関係ないという可能性も示唆されるのです。このあたりは糖質制限ダイエット派やカロリー計算無要論派が好みそうなデータです。
でも、当院の考えは
・糖質制限は血糖値のコントロールには効果がある。
・でも、ダイエットに効果があるかは不明。
・また他の病気のリスクを高める可能性もあり。
これらは否定されてはいませんでした、ホッとした。
これから考えられることは、以前から砂糖は肝臓や膵臓になにがしかの影響を及ぼしていることが推測できます。
悪用もできます
このデータをほかの視点で観察すると、砂糖は糖尿病と関係あるけど肥満との有無とは関連ない、という解釈もなりたつのですが⋯そこまで統計学に理解を示す人は少ないと思います。
実は私もこの論文を理解するのに数日間かかりました。間違って解釈している気もします・・弱気。
もっと解りやすい論文書いてよ!じゃないと
逆にカロリー計算だけではダイエットはできない的な考えの人を後押しするような結果とも取れます。今回は糖尿病と砂糖の関連であって、砂糖と肥満についての研究ではないのです。
ちなみ今回の研究ではに肥満は統計学的には独立した要素になるようです。
宿題として
今回の研究はコーンシロップやショ糖は対象になっていない点が今後の課題です。砂糖が悪いというイメージが付きまとっていますので、ソフトドリンクなどの甘味は他のものが使われ出しています。また実際に今回の研究の精度を高めるためには大量の砂糖を摂取するグループを作って、その人たちのデータを検討しないとなりませんが、これは人道的に許されない研究・実験になってしまいます。
となると私が自分で試していく以外無いようです。やってみますね!