冷房の季節になると、診察室で女性患者さんがよく訴えられる言葉で「インナードライ」という医学用語ではない美容用語があります。
しらなかったよ、「インナードライ」なんて言葉
どなたが最初に言い出したのかは不明ですが、一言で皮膚の状態を表したグッドな言葉です。インナーマッスルという用語が一般化したように、将来お肌の悩みを伝えるために多用されるようになるであろう、という私の勝手な予想(これが今まで結構当たっています)に基づき私の勉強の意味もあり、ここで詳しく考えていきたいと思います。
インナードライって、どんな症状なのか
インナードライ肌は表面上の皮膚はテカテカしていているのに、肌の内側には張りの無いカサカサなタルミがちな肌の状態を表しているようです。現時点では脂性乾燥肌といわれている状態に近いものが多いようです。医学的に解釈すると真皮細胞の水分を保持する力、美容用語では保水力に問題が発生していて、このような症状が引き起こされているのです。
保湿をすればするほど,肌がドライ (乾燥肌)になる理由
インナードライの場合、人間の皮膚はうまく作られていて表面が乾燥していると感じると自然と皮脂が分泌されような構造になっています。それによって見た目の肌は「テカテカ」になってしまいます。
干上がった砂漠のような状態natural-homeremediesより
皮脂は皮膚表面をコーティングして真皮の潤いを保つための働きをしています。しかし、表面をコーティングしているのに、内部の水分が足りなくなっていくのでしょうか?
肌のきめとセラミドの関係を知ろう❗
キメが乱れているということは、医学的には表皮がダメージを受けていてマイクロスコープで見てみますと、細かい傷がついているのです。
肌に潤いを与える「セラミド」という物質があります
表皮に傷ができている=隙間ができている状態であればこのセラミドが外部に漏れ出てしまいます。
セラミドはヒアルロン酸やコラーゲンと比較しても圧倒的に保水力が高いとされてる物質です。
インナードライ肌対策は洗顔方法から見直そう
診療していてお顔のトラブルを抱えている方の大きな傾向として「洗顔のしすぎ」「こすりすぎ」<が挙げれています。肝斑がおおきな問題として取り上げれれていますが、実は肝斑の原因もこすりすぎであるとの説が強くなっています。
化粧品によるインナードライ対策としては肌のきめを整える、セラミドを補給するということがポイントになってきます。しかし、外からいくらセラミドを補給しても表皮に傷がついてキメが整っていないと、結局効果のないこと繰り返しすっぴん状態はもちろんのこと、表面に油分の強い化粧水を使用してもまったく効果がなく、よけいテカテカした肌に見えてしまいます。
洗いすぎ、こすりすぎによって皮膚自体が炎症がおきて通常の傷跡が黒ずみができるのと同じメカニズムで肝斑が発症するのです。とにかく洗顔はやさしく、朝と夜で十分です。油が浮いてくるといってしょっちゅう洗顔するのは×です。