プロペシア(フィナステリド)の登場によって、男性型脱毛症の治療は画期的な進歩を遂げました。以前は「ハゲと水虫の特効薬が出来たらノーベル賞確実」なんて言われていましたが、現在は両者ともに発売・処方されています⋯ノーベル賞は貰っていませんが。プロペシアはそれこそ薄毛に悩む男性にとって希望の光であり、悩めるオッサンに感謝されている薬です。
薄々は気づいていました
一方、私たちの間である薬が副作用的に増毛効果があることが知れ渡っていました。希望者殺到するといけないので名前はAとしておきます。これとは別の薬ですが、副作用的な効果の方に期待がもてる薬については以前ブログで書きました。今回のこのAは中年以降の男性の三人に一人が悩まされる病気の薬として日本でも使用されています。Aは当院でも標榜している泌尿器科で使用されている内に患者さんから「最近若返ったような気がする」「抜け毛が減ったような気がする」「毛が生えてきた」という声が聞こえてきました。薬の作用機序はAはプロペシアと類似していますので、効果の説明は予想がつくものです。
海外の文献にありました
the American Academy of Dermatology の会員向け学会誌にプロペシアとAとを比較した治験の結果が掲載されていました。理論的にはなんとAはプロペシアの100倍の増毛効果があることになっています。しかし、何事も理論通りに行かないのが医学の世界であり、一般の世界でももちろんのことですね。この治験結果で気を付けないといけないことは、アジア系は2パーセントしか参加していないので、即この結果が日本人に適用されるとは早とちりしないでください。効果の判定は非常にやる方は面倒ですが、聞く方にはわかりやすい頭髪の増毛数ズバリでした。頭皮の一部を接写して記録しておき、治療後に毛髪がどれだけ増えていたかを判定の目安にしたのです。
増毛効果の判定は治療前より10パーセント毛が増えると、効果ありとしていますが、直径一インチの円形の毛髪数をカウントしたのですから、大変だったと想像します。だって一インチの直径の円の中にある、毛髪って1000本くらいあるのですよ、それを400人以上計測したとは⋯お疲れ様でした。DR.Olsen。
因みに海外では非常にマニアックに研究されていて中にはこの薬を双子に使って比較するものもありました。
判定の確かさは
この治験は416名参加しており、24週に渡って毛髪数を計測しています。母数、期間ともに十分あると考えられます。残念ながら91パーセントの人は白人でしたので、私たちアジア系に対する効果判定はアジアまたは日本の治験が待たれます。しかし、白人だけに特異的に特効的に効果のある薬なんてありませんので、そのあたりは日本人にも同様の効果が期待できると判断して間違いないでしょう。
果たして効果のほどは
プロペシアでは75.6本の増毛が平均して認められました。一方Aは109.6本の増毛効果がありました。残念ながら100倍とはいきませんでしたが、間違いなくAの方が増毛効果があることになりました。
他のデータ・グラフも多数ありますので、簡単にまとめます
- プロペシア→41パーセントに効果あり
- A →56パーセントに効果あり
- プロペシア 24カ月で75.6本増毛
- A 24か月で109.6本増毛
となっています。
はっきりしろAという薬の名前を
ここまでお読みになったら「A」って薬の名前を知りたくなると思います。でもこの薬はちょうど泌尿器系の病気に悩ませられる年齢の男性がこれまた薄毛に悩んでいる年齢でもあります。Aは現時点で泌尿器の病気に保険薬として処方されている薬です。増毛効果を狙って泌尿器の病気になった風を装って処方されると、私が常に問題視している医療費の増加をとんでもなくもたらしてしまう可能性につながります。文章を読み込んでいただけたらかなりのヒントはちりばめてありますので、ご自分で突き止めてくださいませ。