タバコは本人だけでなく、周囲の人にも健康被害をあたえますので、嗜好品とは呼べないしろものです。タバコと健康の因果関係は明らかですが、まだまだ納得していない方がいるようです。
みんな言われましたよね、「タバコやめなさい!」
今日喫茶店で聞いた会話ですが、「タバコを吸っている人でも健康で長生きの人っているものね!」「がんになろうが、なるまいがその人の勝手じゃない」「タバコは文化だと有名人がいってたよ」「その人だって健康そうじゃない」等などです。これは統計学を理解していない為生じた会話ですね。どんな薬だって100パーセントの人に効果があるわけではありません。ある一つの事象をとらえて全体像を解釈することは非常に危険なのです。
医師の喫煙
医師法第一条に「医療と保健指導を司ることにより、公衆衛生の向上と増進に寄与し、国民の健康的な生活を確保する」明記されている医師の喫煙状況はどうなっているのでしょうか?
ケアネットという健康関連情報サイトが調査したところ、
20代→1.7% 30代→19.7% 40代→35% 50代→33.0% 60代→8.5% 70代→2.1%
という結果がでました。私たち医師の間では、イメージとして外科系の方が喫煙率が高いというとらえ方が多いです。20代が少ないのは女医さんが増加したことも影響していると思います。60代になると極端に喫煙率が下がるのは心血管系の病気を医師自身が患って禁煙をしたことが予想されます。一般の方の喫煙率は下記のようになっております。
地方格差もあるのですが、まだまだ高い喫煙率です
喫煙率と医療費の関係
国民の健康的な生活を確保しなくてはいけない医師はもっと禁煙に対して積極的に啓蒙活動を行うことが重要ではないでしょうか?医療制度が崩壊する危機の一つに医療費の高騰があります。問題点は医療費だけではなく、制度の問題、地方格差の問題など多数の複合的原因によって起こっていますが、解りやすく医療費の面で喫煙問題を考えてみます。
明らかに喫煙者の方が医療費が掛かっています。健康保険などで喫煙者が割高になるプランが登場していますが、お金を払う側の保険会社の動きとしては当然だと思われます。そのうちに医療を受ける時に必要な健康保険証も喫煙者は負担額が増えるようなことが起きても不思議はありません。
太った医師も同罪ではないでしょうか?
ここからはもと喫煙者である私の勝手な意見です。太った医師に痩せろと言われたことありませんか?肥満も健康を損なう大きな要素であることは、国を挙げて「メタボ」対策を行っている状況から現時点では是非を問うような問題ではありません。肥満はいけません。でも、医師も肥満勝ちな人が多く見られます。さらにそんな医師に「健康のために体重を管理してください」と言われても説得力ありませんよね。では、喫煙と同様に経済的損失の面から肥満を見てみます。因みに海外の論文によると肥満傾向のある医師は患者さんに信頼度を与えにくいことがハッキリしています。Obesity「impact of physician BMI on obesitiy care and beliefs」
肥満と医療費の関係
このような結果が出ています。
このように肥満の方は医療費が多くなる傾向がありますので、喫煙問題と同様の扱いをしなければいけないのではないでしょうか?
結果として
国民全体で医療費を負担するシステムである国民皆保険制度。この制度は日本人が世界的に長寿であること、低料金で高度な医療が受けられること、全ての国民が同一の医療を受けられる等世界的に見て素晴らしいシステムではあります。しかし、複合的な問題が絡み合って現在では崩壊・破たんの危機に面しています。病気にならない為の予防医学の啓蒙活動を国を挙げて積極的に進め、公衆衛生に寄与すべき医師も活動を活発にし、国民のみなさんが予防医学を知ることによって少なくてもいくつかの問題が解決できるのではないでしょうか?さあ、明日から禁煙して栄養管理に気を付ける生活をはじめませんか?