混ぜるな危険❗EM菌で鼻うがい⁉危なっかしくてドキドキしちゃうぞ?

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先日、ライブドアニュースに掲載された鼻うがいを行なったことによりアメーバが原因で脳の感染を起こして死亡というニュース。

シアトルにいる68歳の女性が、水道水で鼻うがいをしていたことで脳を食べる珍しいアメーバを摂り込んでしまい、亡くなったとのことです。

鼻うがいで死亡❗脳を侵食する微生物に感染するリスクが大❗

ショッキングな脳喰いアメーバの記事はこんな感じで掲載されていました。

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http://news.livedoor.com/article/detail/15729165/

記事の一次ソースはギズモード・ジャパンのようです。

この衝撃的な記事、本当かよ、と思われた方もいるかと、元々の本当の一次ソースはこれですね。

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https://www.ijidonline.com/article/S1201-9712 (18) 34525-9/pdf

こんな衝撃的な画像も掲載されています。

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鼻うがいがリスキーであることは以前ブログで紹介しました。

花粉症対策で「鼻うがい」というのがあるけど、安全性に少々疑問あり❗

花粉症対策で「鼻うがい」というのがあるけど、安全性に少々疑問あり❗

このブログでも日本の水道水は微生物は取り除かれているので安全と書いてしまったのですが、世の中に余計なことをする人がいるようで

鼻うがいの水にあのEM菌を混ぜちゃっている人がいるようなんです❗

せっかく安全な日本の水道水になんでどんな細菌で構成されているかも不明なEM菌を混ぜちゃっているんでしょうか?

それこそ、混ぜるな危険、EM菌❗

ってことになってしまうのです。

非常に珍しいアメーバ原虫による鼻うがいで死亡例なんだけど⋯

ライブドアニュースに転載された記事をよくよく読んでみると、脳を侵食したアメーバは「Balamuthia mandrillaris」で前掲の医学論文もそのようになっています。

私は恥ずかしながら寄生虫学も細菌学も再々試験くらいで進級できたレベルなので、こんなアメーバ原虫は知りませんでした。鼻うがいが原因で死亡する症例も珍しいけど、この論文を読んでみると「Balamuthia mandrillaris」ってアメーバ原虫はかなり珍しいっぽい表現なんでちょっと安心しました。

感染症に関してはもっとも日本で信頼できるソースである国立感染症研究所のサイトでもアメーバ類のところにこの「Balamuthia mandrillaris」ってのは見当たりません。

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https://www0.niid.go.jp/niid/para/atlas/japanese/protz.html

やっとこさでこんな記載を見つけました。

臓器移植によるBalamuthia mandrillaris 感染、 2010年―米国・アリゾナ州

原因菌は土壌中の自由生活性アメーバで、これによるGAEは稀な疾患であるが、高頻度に死亡転帰をとる。と書かれていますので稀ではあるけど、感染してしまうと死亡するリスクが高いとのことです。

この症例は鼻うがいが原因ではありませんが、稀なアメーバ原虫にわざわざ鼻うがいをして感染してしまった方も米国ではいるのですね。

しかし、日本でもどんな細菌が含まれているか不明なEM菌を鼻うがいの水にわざわざ混入して使用している人もいるようです。たまたまネットで見つけた素人さんのブログ中でEM菌を入れた水で鼻うがいをしているのを見つけました。

EM菌で鼻うがいをした場合に考えられるリスクはこれ❗

以前から鼻うがいのリスクを書いてきた私が今回の稀なアメーバが原因で脳に感染症を起こして死亡した症例を知り、こんなツイートをしました。

くられ先生っていう人の詳細については各自調べてね。このEM菌入りの水で鼻うがいをしている方は医学の素人さん、でもEM菌の信奉者。ここで、これをお読みの方にちょっとお尋ねします。

医学に関する話、医師の話と素人さんの話とどっちに信頼度を寄せますか?

EM菌という不思議な怪しげな雑菌のことに関して、科学のプロの話と素人さんの話のどっちに信頼度を持ちますか?

左巻健男教授(法政大学 生命科学部 環境応用化学科・理工学研究科)は科学等に関する話を誰にでもわかりやすい書籍を執筆されています。左巻健男&理科の探検’s blogではEM菌についてこんなことを書いています。

EM米のとぎ汁発酵液の中にどんな細菌やカビが入り込んで増殖しているかはわからない。どんな感染症になるかわからない。いや、なった人らがいたかもしれない。

学校で校長がEM米のとぎ汁発酵液を各教室で噴霧

明治大学科学コミュニケーション研究所では、以下のような記載が。

有用発酵菌グループおよび有用合成菌グループであり、嫌気性および好気性の微生物など種々の性質の異なる微生物が共存している。

明治大学科学コミュニケーション研究所

理系は苦手という文系の方にもわかりやすく書かれていますので、今後も怪しげた疑似科学・ニセ医学に接触した時にぜひこのサイトをご利用くださいね。

こんな感じでEM菌に含まれている細菌の詳細は明確に分析できていませんし、EM菌を開発(?)した方々の説明も全く科学的ではありません。EM菌は危なっかしい細菌類が含有されている可能性も否定できないと考えます。こんな得体の知れないものが含まれているEM菌を鼻うがいに使用してしまうチャレンジャーのその後が気になってしかたないです。

次に紹介するのは2011年に書かれたブログです。

鼻うがいは⋯
手動式のポンプを使い⋯電気ポットのお湯を使っている(やかんで沸騰したお湯でもいいかも)カルキ抜きしたお水(水道水を煮沸して1日置く)お塩(ミネラル塩)大目に入れます!塩を入れないと鼻が痛くて洗浄出来ません!本にがりアルペンうがい薬(ユーカリ油やハッカ油等を含む)たまにEM菌も数的垂らして使っております!

http://fanblogs.jp/nekohachi/archive/278/0

ほらね、EM菌を鼻うがい液に垂らして使用しているでしょ❗
その後も新しい記事が更新されいるので、無事だったようで安心しましたよ、猫八さん❗

EM菌入りの鼻うがい、これに関して「ドブ水で鼻うがいをしているレベルの危なっかしさ」なんてことが私の頭の中を駆け巡ったことをつけ添えておきますね(※個人の感想です)。

鼻うがいをするときの注意

確かに鼻うがいをするとなんとなーくスッキリした気分にはなるかも知れません。また、日本の水道水は雑菌類が無くて安全と言えるレベルです。
しかし、

安易に体に良さそう、って動機で危なっかしい物質を混入させるべきではないと考えます

どうしても水道水では満足できない方は私の天敵とも言える小林製薬の「痛くない鼻うがい ハナノア」等を使用することを推奨いたします(悔しいなあ)。

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https://www.kobayashi.co.jp/brand/hananoa/?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=all

これもURL長いなあ⋯。

痛くない、がウリの小林製薬のハナノア、そりゃあ水道水を鼻に入れたら痛いですからねえ、痛みが嫌なら生理食塩水で鼻うがいすればいいのでは、なんて感じでまたもや小林製薬に絡みたくなってしまいました(笑)。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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