米国ではこんな不良でも寄付する、がん患者に対する寄付の日米比較

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ハワイの日本人観光客はほとんど来ることが無い、地元の人で賑わっているショッピングモールで見かけた一コマです。

有名ブランドはほとんど入っていないモールですが、地元の悪がきたちの時間つぶしにはもってこいの場所です。

大音量のラップ系の音楽がかかるお店の中には、全身にタトゥーいれた若者達がふらふらナイフやモデルガン、車のチューニングの部品などを物色しています。

あまり長居は無用とお店をでて、もう一度入口を振り返ってビックリしました。

ストリート系不良がこんな地味な活動を

不良

でかでかと「がん患者支援の表示が」

お店の入り口はこんな感じです。

がんの寄付2

入口の一番目立つ場所にこんな表示が!

イベントでがんへの寄付を呼びかける

不良と呼ばれる様な若者に寄付を呼びかける看板があるではないですか?

どう見ても彼らに寄付を呼びかけてもしょうがないような気がしましたが、実際に日本とアメリカの対がんに対する寄付を比べてみました。

これは2002年と古いデータですが、内閣府税制調査会の報告によれば日本は個人の寄付額は2189億円に対してアメリカは22兆9920億円その差、約100倍❗

じゃぁ企業の寄付はどうなっているかと調べてみると日本5092億円に対しアメリカは1兆5255億円と3倍の差でした。つまりアメリカの寄付はほとんどが個人によって行われているのです。

寄付に対する税制の違いが日米に寄付に対する個人のモチベーションに影響されると捉えられていますが、本当なのでしょうか?

がんセンター元総長垣添先生のお話

泌尿器外科第二十四巻第十一号に日本対がん協会で集まった寄付金額は7000万円、対するアメリカ対がん協会は160億円その差なんと228倍❗です。

アメリカの場合大口の寄付ではなく10ドル程度の寄付が積み重なっての額です。

以前日本人医師の手術の腕はアメリカに決して劣っていないことを述べましたが「がん患者さんへの啓蒙運動」に使われるこれらの寄付金額にこんなに差があるのでは、いくら医師の腕が良くても最終的な生存率に大きな差ができてしまうのは当たり前です。

がん対する治療の研究費ではなく、がんに罹った患者さんが如何に幸せな人生を全うするのか?

そのためにはどの様な支援が必要なのか?

これらに使われる対がん協会の活動の基盤の違いをみんなで考えていかなければいけないのではないでしょうか?

日本対がん協会のHPです。https://www.jcancer.jp/

こんな活動があるんだ!と知っていただくだけでも今後の日本も変わってくるのではないでしょうか?

私がアメリカの大学で感動したこと

アメリカの大学の研究室の研究費は多くが治療を行った患者さんからの寄付や有名人の寄付が大きな割合を占めています。もちろん中には売名行為目的の方もいるでしょうが、通常は研究室の入り口に小さなネームプレートが掲げられているだけです。

私が見たのは名前が縦5センチ横15センチくらいのプレートに書き込まれているだけです。

大学構内の一室ですので、不特定多数が目にする場所ではありません。

Nat King Cole と銘記されていたネームプレートが忘れられません。

彼自身もヘビースモーカーであり肺がんで亡くなっています。

死後の寄付であるので売名行為では当然ありません。

宗教的な裏付けなどの違いもあるのでしょうけど、皆さんちょっとでも時間・心に余裕があるとき 「寄付」ということについてゆっくり考えてみてはいかがでしょうか?

日本にもことわざがあります「情けは人のためならず」

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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