聴診器を当てるときにブラジャーを外してもらうか?もらわないか?問題、どう思いますか?
医師だけが見ることができるm3.comというサイトがあります。そこで診察の一つである聴診時に女性にブラジャーを外してもらうか、付けたまま診察するかで、熱い討論が行われています。
ブラジャーは外してもらう派の考えは心臓や肺の音を聴くためにはブラジャーは正しい音を聴くためには邪魔である⋯はい、ブラジャー外す派の意見は医学上は正論です。
医学教育を受けた時は、初診時は例え風邪であっても、子供の時から罹った病気、入院歴、薬の副作用歴はもちろん、両親の持病、もしも亡くなっていたならば、死因まで聞くのが正しい問診と習います。
単なる風邪でもここまでするのが正式な診察
風邪と言っても、熱があるなら尿検査、肺炎の可能性のための聴診、中耳炎がおきていないか耳の中まで覗くのが正しい診察です。
さらに肺の調子を見るついでに、心臓に問題がないかを詳しく聴診することも医学部の授業では必要とされています。
でも、ここまでやると軽く一人の患者さんの診察に30分は掛かってしまいますので、経験値によって端折るチェックポイントも多くなってしまいます。
聴診時にブラジャーを外してもらう派に不利な事件
ある中年女性にブラジャーを外させて、聴診をして喘息と診断した医師の場合、その女性が「長時間私の乳房を見ていたのはセクハラ」と訴えた事件がありました。
実際はそんなに長時間聴診をするはずがないので、医師側が長時間患者に裸にしていなかったことを証明する義務が生じました。証明には診察風景をビデオ録画するしかないですが、そんなことする方が犯罪です。
そんなことできるわけはなく、可哀そうなことに「セクハラ」として裁判に負けたそうです。
聴診時にブラジャーを外してもらわない派の主張
医師としては心音や肺音の聴くには若干の障害はでるが、ブラジャーをつけたままでも最低限の診断はできるとの考え方です。もちろん必要以上に長時間に渡って、聴診器を当てるのは禁物です。
ブラジャーを外してもらわない派に不利なこともある
胸部周辺の異常を訴える患者さんの診察時に乳房や皮膚の異常を見逃すことも生じて、その場合は明らかに見落とした医師側に不利になります。
しかし、診察のためにブラジャーを外してもらうのは、見逃しリスクの確率より「エロ医者」と言われる確率の方がはるかに高いと考えられます。
このような考え方をするのが否定派です。
病院と開業医の違い
大学病院や大病院は医師の教育機関でもあるので、ブラジャーを外してもらって診察するのが本来の姿です。
開業医の場合は「エロ医者」リスクを避けるためにブラジャーを取らずに診察することが多いのです。
胸部の診察における、この論争の結果は
- 外して診察派 21パーセント
- 着用したまま診察派 58パーセント
- ケースバイケース(ちょっとずるい) 22パーセント
という結果になりました。
当院の場合は基本的にはブラジャーを外してもらうことはありません。風邪ひきの場合はよほど高熱や苦しそうな咳などが無いかぎり聴診自体しません。また、喘息・肺炎の音は着衣のままで十分診断できます。心臓の聴診の場合は心電図を行えばブラジャーを外さずに診断できます。開業医の知恵です。
もちろん美容で豊胸を希望される場合はブラジャーをはずしてもらいますが。