かなり気になるサプリがネット広告で表示されるようになりだしました。
本記事の内容
学会で連続発表している癌に効果のあるサプリは信頼できるの?
広告をポチりッとするとこんなサイトが表示されます。
このサプリのウリは日本がん学会学術総会での公式発表(正式には日本癌学会と「がん」を漢字で書きます)と特許取得成分と白衣を着用した医療関係者風の方々と医師が監修した広告であることと思われます。
しかし、このグルコースの特性を活かしたと称するフ○ンDグルコースは
現時点ではがん治療に効果がないと判断されているフコイダン が原料ではないですか❗
フコイダン(フダイコンじゃないよ)はかなり以前から免疫力アップ❗させるサプリとして有名ですが、真っ当な医療関係者の間ではがん治療には全く効果が期待できないダメなサプリとしても有名です。
特許取得しているから癌治療に効果がある、と思いがちですがそれが間違いであり、一般人を惑わす魔法の言葉の1つであることは以前ブログにしました。
医師が薦めるサプリだから癌治療に効果がある、学会で発表されたから効果がある、論文になっているから効果がある、と信じ込んでしまう方は十分にご注意していただきたいので、効果はまず期待できないサプリのヘンテコな点を指摘してまいります。
医師が薦める、癌の夢の治療法「フコイダン」?
BuzzFeedにこんな記事があります。
BuzzFeed岩永直子さんの取材の応じた方はこのように述べています。最初に取り組んだのは、医師が勧める玄米菜食の食事療法と、海藻のヌメリ成分に含まれるフコイダンのドリンク。本屋の健康本のコーナーにたくさん平積みされていたその食事療法の本を買い、「医師が言うのだから根拠がある」と信じた。
私が気になっているフコイダンが原料と思われるサプリもしっかりと医師が推奨しているよう解釈できます。
この方がこのフコイダン系サプリメントの広告サイトの監修をしているようですね。BuzzFeedの記事にあったインチキ医療に騙された方も医師が言うのだからサプリの効果を信じてしまったと述べています。隣のおばさんが教えてくれた癌治療に効果のあるサプリより、やっぱり医師がすすめるサプリの方が信頼度が高く受け止めてしまう傾向があるようです。
学会で発表され論文になっているから効果があるのか?
自分のところのサプリを権威つけるために、学会で発表された、あるいは医学雑誌に掲載された、を強くアピールする方法があります。あるいは特許を取得したから効果がある、と一般人を誘導する手法もあります。
フコイダンのサプリは本当に学会で発表されているのでしょうか?
今回取り上げたサプリに関しては確かに日本癌学会総会で発表されています。
しかし、これは口頭(オーラルと表現すること多いです)の研究発表であり、私が調べた限りでは論文にはなっておらず詳細を検討することはできなくて残念です。しかし、いくらがん細胞に対してなんらかの影響を与える物質だとしても、これは多分試験管レベルあるいは動物実験レベルの研究であり、ヒトに対する効果を示したものではないはずです。
この症例報告、かなり変なのですけど⋯
このような症例報告がこのサプリの広告サイトに掲載されています。
ステージ4の前立腺癌なので、前立腺特異抗原であるPSAが1000を超えていて、骨転移をしているシビアな症例であることは間違いありません。この症例の説明でも化学療法という言葉が出てきます。確かに骨転移をしている場合の前立腺癌の治療方法として選択される数少ない治療方法がこの方の場合、残念ながら副作用で中止となってしまった模様です。
この会社が「前立腺がんを成長させない」サプリと宣伝しているサプリ治療を開始した後の検査結果も掲載されていますがフコイダンのサプリを服用したら、逆に前立腺癌のマーカーが上昇してんじゃん❗
ここまで見ている一般人がいないと思ってこんなナメた検査データを堂々と掲載しちまっています。
この方がもしも化学療法以外にステージ4の前立腺癌に効果が期待できるホルモン療法を選択していたら、多分腫瘍マーカーであるPSAは激減する可能性も少なくはないのに⋯。
フコイダンが癌治療に対して効果が無い、ということは現時点では真っ当な医師は考えています。その理由の1つとして、これだけ多種の癌にこのサプリは効果があるといっているからです。
米国で活躍されている大須賀覚医師はブログでこのようなことおっしゃっています。
日本で氾濫しているイカサマがん治療(食品)の宣伝で良く見る文言があります。それは「この治療(食品)は全てのがんに効きます」という言葉です。一般の人がこの言葉を見たときには、「全てのがんに効くなんてすごい、私にもきっと効くはず」と感じるかもしれません。それに対して、医療者がこの文言を見た場合にはすぐに怪しいと疑います。なぜならば、そんな治療は存在しないからです。
このサプリのように多くの臓器にできてしまった癌に対してオールマイティ的に治療効果のある薬さえないのが現実です。
このサプリ製造販売会社は癌患者さんの役に立ちたいとのお考えがあるのなら、じっくり腰を据えてフコイダン由来のフランDグルコースの研究を行うべきであり、安易に商品化するべきでは無いと考えます。
前掲のBuzzFeedではご自身も癌患者さんである卵巣がん体験者の会「スマイリー」代表の片木美穂さんがこのようなことをおっしゃっています。
標準治療は臨床試験で効果が証明された最善の治療ですが、言葉の響きから『並みの治療』と捉え、お金さえ出せば他にもっと良い治療があるのではないかと考えるのが患者の心理です。
私にはこのサプリはこんな患者さんの心理をついた怪しい治療方法としか思えません。