先日、地方紙でこんな報道を見かけました。
私はこの記事を読んで「ああ、年齢から察してスポーツ講習会とかで、集まった中高生がはしかの集団感染かあ、予防接種していなかったのかな?」と思ったのですが、三重県の当日の「麻しん(はしか)患者の発生について」を見てみると、ちょっと違和感が。。。
三重県ではしかが集団発生、さらに各地に感染拡大の可能性が
民間団体が自施設で開催した研修会からはしかの感染者が発生❗なんで違和感があったかというとはしかは予防接種を受けることで感染を予防できるはずなのに、なんでこれだけの感染者がいるということは、ひょっとしてワクチン拒否の自然派を拗らせた民間団体の研修会が集団感染の原因?との思考回路が働いたためです。この三重県発のはしかの集団感染はどうも各地に飛び火して、以下のように。。。
わずか数日でなってしまっています。
はしかは感染力が強く、空気感染するために拡散力が強いことで知られています。どんな民間団体が感染原であるか、感染症の専門家および自然派を拗らせたトンデモウォッチャー界隈で特定をする動きがありました。
感染はこのようなスピードでどんどん拡散していきます。
はしかはワクチン接種で予防できる感染症です。
感染源は突き止められました、でもちょっと厄介な⋯
信仰の自由は日本国憲法第20条で明確に定められています。私もブログでトンデモさんを俎上に載せてきましたが、いわゆる「ママサイト」で信奉者をゲットしている厄介な集団に対して「カルトが狙っているのは子育て中のママ」と何回か警告を発しています。
宗教の全部が全部カルトであるワケが無いのは常識です。
しかし、中には昨年教祖が死刑を執行されたカルトがありましたが、その集団は初期の活動は自然派思考と科学の融合であり、トンデモ案件として扱われていました。
今回のはしか集団感染の原因となった民間団体は某宗教法人だったのです!
その詳細に関しては、やや日刊カルト新聞「三重の麻疹集団感染、発生場所はMC救世神教の中高生2世信者研修会と判明」を参照ください。
この宗教団体はこんな感じのことをウェブサイトで記載しています。
体験談の中に「ワクチン接種を迫られた私の体に大異変! 浄霊と祈りではしか抗体の数値が10倍に」があります(現在はこの体験談はクリックしても全文には飛ばないようになってしまっていますけど)。
私は宗教を全面的に否定する立場ではありませんが、宗教がらみの疑似科学はなるべく取り扱わないように心がけてきました。勇気あるカルトウォッチャーである鈴木エイトさんの「やや日刊カルト新聞」の記事によれば
教団は謝罪の上、ワクチン接種は「自己責任」
とのことなので、当該の宗教団体がワクチン否定派というか、信者さんにワクチン接種を拒否するように指導していなかったようです。
自然派信奉者系ワクチン拒否一派は、ブログやソーシャルで自然に感染した方が免疫力がつなどという戯言を書いています。しかし、自然感染ではしかに感染して発症すると重症化や合併症のリスクが増加して、死亡することもありえます。
海外のはしかワクチン拒否団体の集団感染の症例
意識高い系(意識が高い、とは別もの)の自然派を嫌な方向に拗らせたママ友の誘いにのって、非科学的なワクチン否定・ワクチン拒否になっている子育て中のママも少なからずいるようです。
トンデモの流行に乗ってしまった子育て中のママと宗教によってワクチン接種を否定している方とは大きな違いがあると思っています。例えば米国には「アーミッシュ」という宗教団体があり、米国に移民としてきたご先祖様の時代の生活を頑なに守っています。
そのアーミッシュの集団は当然のこととして移民時代には存在しなかったワクチン接種はダメ。そのアーミッシュの集団で以前はしかの集団感染が発生しています。実は米国では2000年にはしかは根絶されたことになっていました。
「A Measles Outbreak in an Underimmunized Amish Community in Ohio』(N Engl J Med 2016; 375:1343-1354)。
このはしか集団感染はオハイオ州の2014年3月から7月にかけて383人が感染しています。もちろんアーミッシュでない人もはしかに感染していますが、はしか感染者の99パーセントはワクチン未接種のアーミッシュだったのです。ちなみにアーミッシュの家庭でも14パーセントはワクチンを接種していました(一般家庭は88パーセント)。
アーミッシュの家庭に生まれても、成人になる前のある時期に一般の社会に溶け込むことができる行事があり、それを経験したのちに自分はアーミッシュとして生きていくのか、あるいは一般社会の一員として生活していくのか判断できことを映画評論家町山智浩の著作で私は知りました。
はしかは予防できる感染症です
予防接種を拒む人の理由としてこのようなデータがあります。
これは新型インフルエンザに対するワクチン接種のデータですが、まあ、自分は大丈夫だ、注射は痛いから嫌だ、病院嫌いという理由に関してはこれからの医療サイドの啓蒙活動で克服が可能だと思われます。
厄介なのは副作用を必要以上に恐る人々が28.6パーセントもいることです。さらに予防接種は自己の免疫力を弱める・強い体を作りたい、などは自然派志向を拗らせた方面の方々に見受けられる非科学的・ニセ医学のトンデモ一派の影響も大きいのではないでしょうか?
国立感染症研究所の感染症情報センターによる「麻疹が死因として報告された死亡者数」です。
はしかは死亡する怖い感染症です、そしてワクチン接種によって感染が防げます。今回の三重県津市の某宗教団体(自然派志向であることは間違いない)であっても、米国のアーミッシュであっても予防接種を拒否することを強制はしていない模様です。
なんで非科学的であり、ニセ医学である厄介な自然派を拗らせた面々の教えにしたがってワクチン接種を拒むのでしょうか?子育て中のママはこの辺りをご自分あるいや伴侶としっかりじっくりお考えいただければ、一町医者の私はうれしいです。