ネット上をフラフラしていたらトンデモ医学の代表である経皮毒信奉者と思われるヘンテコな記事を見つけてしまいました。
石けんやシャンプーの成分が思春期早発を引き起こす原因だとしても
経皮毒信奉者さん、大喜びの2018年のトンデモ医学記事です
経皮毒で有名なトンデモ医学は羊水からシャンんぷーのにおいがした❗ってのが有名でこのブログでそのバカバカしさを笑いました。
シャンプーが原因で羊水からシャンプーの臭いした、なんて話を撒き散らしている方々が信じているのが経皮毒。そんな経皮毒信奉者がこの記事を読んだら、来年2019年のトンデモ業界は経皮毒の恐ろしさを拡散するとともに、経皮毒をデトックスするヘンテコなサプリやヘンテコなグッズを喜々として販売する恐ろしい年になりそうです。
うかうか「ガキ使」を見ながら家族とのんびり大晦日を過ごす気持ちになりません。毎日新聞の医療プレミアムが記事にした一次ソースである論文を精査してみます。
石鹸・シャンプーが思春期早発の原因論文、ここがちょっとヘンです
毎日新聞のトンデモと思われる記事の元となった論文は「Association of phthalates, parabens and phenols found in personal care products with pubertal timing in girls and boys」(Human Reproduction, Volume 34, Issue 1, 1 January 2019, Pages 109–117) です。
毎日新聞の記事にも書かれている、フタル酸エステル類やパラベン類、フェノール類が人に悪影響する可能性を否定することは簡単ではありません。これらの内分泌撹乱作用があると考えられているは食べ物を介して体内に入り込み、特にコンビニ弁当に使用されていることを問題視している人もいます。
今回毎日新聞がギョッとする記事を掲載しましたが、一次ソースである論文をよくよく読んでみるとヘンテコな点がいくつかあります。
研究の内容は
●研究対象はカリフォルニア州サリナス・バレーの妊婦さんとその子供
●妊婦さんは妊娠中に2回血液検査を行なってフタル酸エステル類やパラベン類、フェノール類の血中濃度を調べた
●生まれた子供は9才になった時点で尿検査を行なった
その結果
●妊婦さんの90パーセントから問題となった化学物質のどれかが検出された
●妊娠中の問題となる化学物質であるフタル酸エステル類の濃度が2倍になると、子供の隠毛が生える時期が早まっていた
●妊娠中の問題となる化学物質であるトリクロサンの濃度が2倍になると、子供の初経が早まっていた
などです。その結果としてフタル酸エステル類やトリクロサンやパラベンの血中濃度が高まると思春期早発が起こるということがわかりました。
しかーし❗これって毎日新聞が記事にした石けんやシャンプー、歯磨き粉が原因でこれらの化学物質に暴露されたの??と私は素朴かつ大きな疑問を抱いたのです。
なぜならカリフォルニア州サリナス・バレーって農業地帯なんです。
さらに論文を読む限りこれらの問題となる化学物質が石けんやシャンプー由来なんて断定していないぞ❗
この研究の対象となった人々はラテン系コミュティで暮らす、ある意味で特異的なグループなので内分泌撹乱物質の原因は農薬の過剰な暴露が一番原因として考えられるはずです。
確かにフタル酸エステルはシャンプーや香水や石鹸に含まれていますし、パラベンもフェノール類も化粧品の防腐剤として使われています。しかし、農業を営んで農薬等に含まれるホルモンに影響を与える可能性のある物質がこのような結果を導いた可能性の方が原因なんじゃないのでしょうか?
この記事をちゃっかり利用したトンデモさん
毎日新聞のかなり盛った感じの記事ですが、まあ「原因」と断定しないで「原因か」と「か」をつけてつっ込まれないようにガードしているのは流石です(笑)。ところでこんなブログを見つけてしまいました。
なんとここは、がん・難病の専門クリニック❗
このブログのほとんどが毎日新聞医療プレミアムからの引用なのか転載なのか明確な判断は避けますが、パクリ的な内容になっていることに関しては毎日新聞の判断にお任せします。このクリニックが得意としている治療機器というか診断機器は周波数検査(量子波動測定)と周波数療法(AWG)のようです。
これって例の波動医療じゃん❗
標準医学・標準治療からかけ離れたトンデモ医学をご使用になっているクリニックの情報収集能力には頭が下がります。
来年も正しい医療をお伝えしつつ、トンデモ医学を笑いながらブログを書いていく所存です、と言いたいところなんですけど、院内から「院長、趣味のトンデモ医学いじりもたまには許しますけど、ブログ書いても患者さんは増えないですよ❗キーッ」との声もだんだん大きくなっているっぽです。どうすりゃいいんだ、と悩みつつ除夜の鐘を聞く2018年の暮でした。