緊急事態発生❗プラセンタ注射「ラエンネック」でB型肝炎感染の疑い⁉

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プラセンタ注射と呼ばれる「ラエンネック」でB型肝炎に感染という驚愕のニュースが飛び込んできました。若返り・美肌治療に有効とされるプラセンタ注射は、名前だけは聞いたことある人も多いはず。五本木クリニックでは、このラエンネックの取引を中止することにしました。その理由をお伝えいたします。

プラセンタ注射「ラエンネック」によってB型肝炎に感染した可能性が明確に否定できない症例

マズい情報を見つけてしまいました❗

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日本生物製剤http://jbp.placenta.co.jp/files/2017/09/20180816.pdfより この文章なぜか日付が「8月」だけ⋯私がこの文書を見たのがお盆の最中。B型肝炎ウイルスが入るはずないと、日本生物製剤は書いてはいますけどこんな論文もあります→「Occult HVB感染と考えらえる血液製剤による輸血後B型急性肝炎の一例」つまり

肝炎ウイルスが紛れ込むことがゼロとは言い切れない

これって本来ならばMRさんが当院を訪問して説明する、あるいは郵便でこのような内容を知らせてくれるべきなんでしょうけど、なんせ当院ではプラセンタ注射を当方から患者さんに推奨することは無いために

販売会社からすれば当院はラエンネックマイナーユーザーであり重要な取引先ではないと認識されてるんでしょうね。

「他院でプラセンタ注射を始めたので、ついでにラエンネックを注射して」レベルの数人の患者さんにしか使用していなかったので、大事なインフォメーションを教えてもらえなかったのかなあ、なんて考えております。

このあくまで因果関係は明確ではないにしろ、プラセンタ注射ラエンネックB型肝炎疑惑に対して、当院美容サイトはこの情報を得た時点でこんな感じになっております。

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正直なところ、この美肌注射には

もともとラエンネックは含まれていませんが、オプションとしてラエンネックの追加をしていたことはあります

簡単お手軽に採用できるプラセンタ注射「ラエンネック」は保険診療一本槍だった皮膚科でも、自費診療のお勧め等のセミナーの影響を受けて現在は多数の一般クリニックでも採用されています。

ラエンネックを製造販売している会社の対応は疑問だらけ

まあ、当院のようなラエンネック少量ユーザーへの対応は後回しになって仕方ないと大人の解釈をしたとしても第一報でこれはないでしょう❗

ラエンネックの使用を当面の間差し控えることに関するお知らせ

って当面の間差し控え、なんて曖昧な表現じゃなくて

至急、ラエンネックの使用を中止してください

って危機管理を考えたらインフォメーションするべきなんじゃないでしょうか?さらにこの「当面の間さし控えることに関するお知らせ」は医療関係者でないと基本見られない建前になっています。

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日本生物製剤 医療関係者の皆様へ(http://jbp.placenta.co.jp/medical_personnel/) 真面目な一般の方は自分は医療関係者じゃないや、と考えて「はい」をクリックしない可能性があります。これではラエンネックの疑いをあまり公にしたくないオーラが出まくりなんじゃないでしょうか?

私は日本生物製剤がラエンネックで一発当てようと欲を出したのか (もともとは非常にマイナーな製薬会社)、会社の発展のために当然の流れなのか

豚由来プラセンタサプリを製造販売した時点でなんじゃこの会社は❗

って感じたのが10数年前だったけなあ。ラエンネックって生物製剤なんで「未知の感染症の原因となる微生物が含まれている可能性があること患者さんに伝えること」との指示を従業員に出し、さらに念のためというかほんとは当院的に積極的にはプッシュしていないんだよという意味合いと万が一のために同意書を用意していました(なんで同意書なんか書かせるのよ(怒)って方は当然お断りしていました)→当然のごとくラエンネックを使用したプラセンタ注射希望者はごくごく少数ってことになります。また、万万が一のことを考えてラエンネックを使用している患者さんには献血は控えるようにお願いしていました。

プラセンタ注射ラエンネック肝炎疑惑に対する当院の対応

前掲のように当院のサイトではラエンネックを使用したプラセンタ注射は中止しています。しかし、少数とはいえラエンネックを注射された患者さんがいることに間違いはありません。そこで当院としてはこのような対応をいたします。

当院でラエンネックを注射した方に対しては当然無料でウイルスの検査をいたします❗

すでに当院からの電話連絡をアンケート用紙にOKと書かれた方には連絡をとって採血を開始しています。

医療用医薬品:ラエンネック:正常成熟肝細胞の増殖により 障害肝組織の修復を視野に入れた肝機能改善剤

これは当院の在庫、廃棄すればいいのか、御社が回収するのかの指示もお願いします、日本生物製剤さま。

情弱のクリニックは今でもこんな状態です

ネットで「プラセンタ注射」のキーワードで検索すると⋯・

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こんな状態で広告が上の方に現れます。どこもいまだにプラセンタを積極的にアピールしているようです。広告を除くとこんな状態。

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プラセンタ注射をこんな感じでサイトに掲載して大丈夫か?と余計な心配をしてしまいます。さらにはラエンネックがヤバイと知られ出したこの時期にこんな広告をしているクリニックまで⋯。

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ここも当院のように製造販売会社から連絡こなかったのでしょうかねえ⋯。

果たしてラエンネックにB型肝炎ウイルスは混入していたのか?

今はシワ等の治療にヒアルロン酸が主に使用されていますが、以前は同様の効果を期待してコラーゲン注射が多用されていました。このコラーゲンはもともと人体の皮膚の一部を原料として製造されていたのですが、BSE問題つまり狂牛病騒ぎの時に万が一原因であるプリオンが混入してしまう可能性があるために、医療では使用されなくなりました。生物由来成分の場合は疑わしきは罰するべき流れとなっているはずです(薬害エイズ事件なんてひどい事件もありましたね)。

今回のプラセンタ注射の薬であるラエンネックの場合も万が一という事態に備えて

即刻使用中止を製造販売会社は医療機関に通達するべきだったのではないでしょうか?

私の個人的な解釈だと、B型肝炎ウイルスが製造過程で混入することは、まずありえないとは思いたいのですが⋯入っていないはずの異物が混入して製造をストップさせた医薬品は今までにもいくつかあります。

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https://area34.smp.ne.jp/area/card/5696/i1Iv6B/M?S=mbmjt0ljt0k

本来のラエンネックの適応症は「慢性肝疾患における肝機能改善」です

肝機能改善を目的としたラエンネックで肝炎になってしまったら、それも保険治療で使用される以外のエイジングケア目的の注射が原因となってしまったらどうなっちゃうのでしょうか?

積極的にご自分の使用している薬剤の情報収集を怠っている医療機関は早めにラエンネックの注射を中止して、最優先課題として危機管理体制をとって対応するべきだと考えております。

当院としてはラエンネックの安全性が確実になったとしても、この会社の対応に不信感を抱いておりますので今後も自主的に控えるのではなく中止とさせていただきます。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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