納豆って健康に良い食品であることは間違いないと考えます(血液サラサラ問題は別ね)。海好きの方はこの時期にクラゲに注意が必要であることは十分にご存知だと思います。でもクラゲと納豆アレルギーの深い関係って意外と知られていません。
本記事の内容
納豆アレルギーとクラゲの予想もしなかった深い関係
納豆アレルギーはアナフィラキシーショックを起こしやすいと考えられてます。夏の海はクラゲが大量発生して、刺されてしまうと思わぬ大ごとになる場合もあります。
納豆アレルギーで重症になる人はクラゲに刺された経験がある可能性が示唆されています
サーフィンや海水浴等のマリンスポーツ愛好家ほど納豆アレルギーになる可能性が高い、との医学研究もあります。私の周囲にはマリンスポーツ好きのオッサンが多いので、私の豆知識を披露してオッサンたちから称賛されることを期待しつつ、そんなこと以前から知ってるよ的な発言を無視して話を進めて参りますね。
納豆アレルギーがある人はアナフィラキシーになりやすい
納豆は高タンパク食品として有名ですし、美味しいし、まさにザ・日本食って感じの食べ物ですね。しかし、残念なことにタンパク質ですから、当然納豆に対してアレルギー反応を起こしてしまう人もいます。
https://allergy72.jp/common/pdf/allergy_booklet.pdfより
このわかりやすい図で「大豆」と書かれていますね。納豆は大豆を発酵させた食品ですから、アナフィラキシーを起こす原因の食べ物としては1.8パーセントと占める割合は少なくても、アナフィラキシーを起こす原因として実は医療関係者の間では有名な食品でもあります。って解説をどこかで見かけましたが実はこれは間違い。
大豆のアレルギーで納豆アレルギーになるわけではなく、納豆の納豆たるあのネバネバがアレルギーの犯人なんです。
納豆のネバネバに含まれるポリガンマグルタミン酸(PGA)が納豆アレルギーのアレルゲン物質なんですよ❗
これ医師でも知らない人がいるんじゃないかな?医療関係者はログインしてm3の「覚えておくべき遅発性の食物アレルギー【研修最前線】」を読んでね(https://www.m3.com/open/clinical/news/article/425021/)。ここでも納豆アレルギーをマリンスポーツの関連性が書かれています。
クラゲに刺されると納豆アレルギーになるという不思議な話
ここから今回の本題に入ります。「Surfing as a risk factor for sensitization to poly (γ-glutamic acid) in fermented soybeans, natto, allergy」(Allergol Int. 2018 Jul;67 (3) :341-346)では色々なマリンスポーツの経験者と納豆アレルギーの関連性をこのように報告しています。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1323893017301624より
食物アレルギー患者さん140人中納豆アレルギーのあった人は13人、納豆アレルギーがない患者さんは127人。そして納豆アレルギーがある患者さんは圧倒的にマリンスポーツ愛好者であり、マリンスポーツが納豆アレルギーの重要なリスク因子であることが示唆されています。
その理由としてクラゲは納豆のネバネバに含まれるポリガンマグルタミン酸(PGA)を作り出しています。サーフィンやダイビングをしている時にクラゲに刺されることによってポリガンマグルタミン酸(PGA)に感作されるために、納豆を食べるとアレルギーを起こすと考えられているのです。
食物アレルギーが疑われる場合「マリンスポーツやっていますか?」と尋ねられるかも
あなたやご家族や友人がひょっとして食物アレルギーかな、と考えて医療機関を受診したとしましょう。担当医がいきなり「海は好きですかあ?」「マリンスポーツやってますかあ?」「焼けてますねえ、サーフィンとかやるんですかあ?」なんて言い出したら、多くの方は「なんだこの医師」って感じるのではないでしょうか?
私のように美容担当医からくれぐれも日焼けはするな、と言われながら毎年真っ黒になっている医師にそんな質問をされたら「こいつ遊ぶことしか考えていないのか」って思うかもしれません。でも、こんな質問をする意思は勉強熱心なんですよ。
マリンスポーツ愛好家は知ってか知らずかクラゲに刺されてポリガンマグルタミン酸(PGA)に感作されている可能性が高いですからね
さらに納豆アレルギーという割と知られていないアレルギーも考慮して診察しているということになるんです。
納豆アレルギーはアナフィラキシーを起こしやすいと考えらえれています。マリンスポーツ愛好家はクラゲに刺されてポリガンマグルタミン酸(PGA)に感作している可能性があります。だからこそ、食物アレルギーが疑われる患者さんに対しては「マリンスポーツ愛好家」であるかを事前に把握しておく必要があるんですよ。
別にあなたの趣味に興味を抱いたからじゃないので、誤解なきようお願いいたします。