いやー、世の中には不思議なことがあるもんで、疑い深い私でさえ納豆って血液をサラサラにして脳梗塞を予防すると思っていました。
本記事の内容
納豆は健康に良いけど、脳梗塞の予防になるとの話を疑ってみると⋯エビデンスないじゃん❗
ひょんなことから納豆に含まれているナットウキナーゼのことを調べていたら大前提である納豆は血液をサラサラにする効果を実証した信頼たる論文がありません❗
これ自分の医学論文調査能力が劣っているからであるといいのですが⋯世の中で疑われることなく信じられている納豆が脳梗塞を予防することは都市伝説の可能性が高いのです。
納豆に含まれるナットウキナーゼ という成分は確かに血管系に良い影響があることが大いに期待されていますが、納豆を食べてもナットウキナーゼの効果は期待できないってことなんです。
ナットウキナーゼ似た名前のウロキナーゼ、このウロキナーゼは医薬品として血液が固まることを防いで脳梗塞の治療に大活躍します。このウロキナーゼの原料は「尿」ですから、脳梗塞の時に尿を飲むと⋯そんな人はいませんよね。それと同じで納豆を食べてもナットウキナーゼの効果として期待されている血液サラサラ、脳梗塞予防もかなり怪しいことになっていたのです。ここで私の大好きな小林製薬のナットウキナーゼサプリの広告を見ると、
こんな感じになっておりまして、サラサラ成分がいっぱい(笑)そういえば、青魚のサラサラも実はサプリとして摂取しても意味ないよ、って記事が先日のBBCのニュースに載っていましたね。
効果のないナットウキナーゼと効果のない青魚をぎっしり詰め込んだ小林製薬さんのナットウキナーゼ&DHA&EPAサプリ、お疲れさまです。これ勘違いしないで欲しいのですが
青魚は健康に良いことはほぼ確定、それをサプリにしても効果が無いことがほぼ確定ということです。要するにサプリを買うくらいなら普通に納豆を食べて(血液サラサラは期待しないで)普通に青魚を食べれば良いのです。さて、前置きが長くなりますが、納豆を食べてもナットウキナーゼの効果は期待できないし、ナットウキナーゼのサプリを飲んでも脳梗塞の予防にならないことを証明?してまいりますね。
納豆やナットウキナーゼが脳梗塞の予防になるとの話は根拠に乏しいです
納豆の効果を研究している組織として日本ナットウキナーゼ協会というのがあります。このサイトに研究情報としてこんな風に研究結果が掲載されていて、どっかの学会誌に掲載というか投稿した形跡があります。
でもこれ変じゃないですか?
納豆の研究、ナットウキナーゼの研究が2009年当初以来更新されていません❗
日本ナットウキナーゼ協会、これ以降は納豆あるいはナットウキナーゼの研究って断念なんでしょうか?それともこれ以上研究する必要が無いくらいに納豆やナットウキナーゼは効果が実証されているのでしょうかというくらい不思議なことになっています。尿を原料として血栓を溶かすことが科学的に証明され医学の場で大活躍しているウロキナーゼ。このウロキナーゼの使用方法は注射というか点滴として血管内に直接投入されます。
このウロキナーゼの効果で脳梗塞から回復した患者さんは数知れずですでも、いくら血栓を溶かす効果があってもウロキナーゼを飲んじゃう使用方法はありませんし、医薬品の飲み薬としてウロキナーゼを主成分としたものはありません。注射薬として血管内に入り込むことで効果を発揮するのです。
となると、今回のお題の納豆、あるいはナットウキナーゼも直接血管内に注入すれば効果がある可能性を全否定することはできないけど
少なくとも納豆を血管に注入することは無理でしょう
じゃあ、納豆から抽出したナットウキナーゼを血管内に注入したらどうなるか?
ナットウキナーゼサプリを食べてもらった研究は確かに存在しています。「Combined nattokinase with red yeast rice but not nattokinase alone has potent effects on blood lipids in human subjects with hyperlipidemia」(Asia Pac J Clin Nutr. 2009;18 (3) :310-7)、これで証明できたのはナットウキナーゼによって総コレステロールと善玉コレステロールと呼ばれるHDLコレステロールの比が小さくなった、つまり善玉コレステロールが増えたんじゃないのレベルの結論になっています。
高血圧に関する研究もあります。「Effects of nattokinase on blood pressure: a randomized, controlled trial」(Hypertens Res. 2008 Aug;31 (8) :1583-8)、確かに血圧の低下が確認されています。
納豆やナットウキナーゼが血液をサラサラにして脳梗塞の予防になることを明らかにした論文はないのですよ
これも勘いくら探しても納豆やナットウキナーゼが脳梗塞の予防になることを研究した医学論文が見つかりません。これ勘違い違いしないで欲しいのですが、論文を掲載する学会誌と言ってもピンからキリまであって、信頼たるいわゆる医学的・科学的なエビデンスがあると万人が認めるような論文は無いということです。
じゃあ、どっから納豆は脳梗塞の予防になる血液サラサラ効果があり、納豆嫌いの方でも気軽に納豆の効果を実感できるナットウキナーゼが血液サラサラ&脳梗塞予防にナルトの話が出てきたのでしょうか?私の書庫にこんな本があります。「なっとうの神秘」(永山久夫 アロー出版)、これは1977年つまり昭和52年に発行された本で、私のブログの読者のほとんどが生まれる前(恥ずかしながら私は漢字を読めて微積分もできた時代)の健康本です。
この本が納豆が体に良いと言い出しっぺだとは思いませんが、納豆健康本としては古典的なものだと考えております。この本はかなり問題作でなっとうの驚異と薬効57 放射能も予防する納豆菌などというトンデモない章もある、トンデモウォッチャーとしては格好のご馳走盛りだくさん、下手すりゃ現在なら薬機法で一発アウトものです。納豆あるいはナットウキナーゼはコレステロール値を動かす可能性はあり、血圧も下げる可能性も否定はできないと考えても
納豆あるいはナットウキナーゼが血液をサラサラにすることは明確になっていませんと本日のところは結論といたします。
話は変わりますがオッサンの間で玄米食がブームになっていてその美味しい食べ方の一つとして納豆玄米ご飯があります。これはタンパク質を補うこともできますし、白米より玄米の方が健康には良いのは今では定説と考えて間違い無いですから「玄米はちょっと苦手」という方はぜひお試しください。美味しくて確実に体重は増えます(笑)。
そうなると玄米も苦手、納豆も苦手という方はどうしたらいいのか?との疑問がまた出てきちゃいました。
誰かアイディアありませんか?