スポーツ選手はなぜしょっちゅう足をつるのか?と素朴な疑問。簡単な予防方法があるのに⋯。

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誤解があるといけないので事前にお断りしておきます。私はスポーツ音痴でスポーツ観戦も滅多にしません。サッカーに至っては4年に1回観戦するレベルのニワカかつド素人です。

前々回のワールドカップをスポーツバーで観戦していて「サッカー選手ってスポーツ選手のなかでもメチャクチャダメージに弱いんだね」と暴言をはいてあれほどワンワンしていた店内を凍りつかせてしまった過去があります。

プロ中のプロであるサッカーW杯で気になった、足つり問題。

今回のワールドカップを観ていて

なんでプロ中のプロなのに試合中に足をつる選手が続出するのか?

と非常にプリミティブな疑問を家庭内で口走ってしまいました(あれ以来スポーツバー等の他人様がいるところでのスポーツ観戦はかたく禁じられています)。サッカー選手でなくても、オリンピックの競技でもプロ中のプロが足をつるなんて⋯そんなこと感じる人は他にもいるのではないでしょうか?十分に体調管理をして、ストレッチを含む柔軟体操もしているはずなのに、なんでいざって時に足をつるんだろう?

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https://www.youtube.com/watch?v=aO7ySHtM5qcより

足がなんでつるのか問題の答えは後回しにして、実は

なんとなーくニセ医学的なテイストがあるのに、確実に足をつるのを防ぐ方法があります

医師である私が経験してきた治療方法はあくまで個人の感想レベルであり、エビデンスがあるといえるものではないことをご承知の上、読み進んでくださいませ。

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これ今日のブラジルVSメキシコ戦、メチャ痛がっていてこんなシーンを前々回のワールドカップ観戦時に見て、前述のトンデモ発言を私はしちゃったのです。サッカーファンの方、本当にすいませんでした。

鍼灸の先生はこの足がつるのを予防する方法をご存知の方が多いようです

足がつることは、こむら返りと呼ぶ場合もありますね。患者さん、特にお年寄りの方から就寝中に足がつって辛いなんて話をよくうかがいます。一般的にこむら返り、つまり足がつるという症状に対しては漢方薬の薬甘草湯を処方されることが多いです。でももっと有効な手段として

深腓骨神経ブロックという治療方法があります

この治療方法、以前医師向け雑誌にある医師が裏技的に使っている記事を見かけて、私なりに鍼灸の専門家と検討して身近な人に何回か試したことがありますが⋯今の所効果は100パーセントなんです。なんでこの治療方法が一般的にならないのよ、と感じてしまうくらい効果があります(これエビデンスとは呼べないことは十分承知しております)。でもねえ、それなりに医学論文はあることはあるんですよ。

足がつる、こむら返りに効果的な治療法は医学専門誌に掲載されています

ちょっと古い論文ですが「腰痛などを伴っているこむら返りに難渋している症例への治療効果-深腓骨神経ブロックによる-」という日本腰痛学会雑誌に掲載されたものがあります(日本腰痛学会雑誌 8 (1) : 196 -196 2002)。内容として

母趾と第2趾の間で中足骨基底部周辺にトリガーポイント注射を行なった

このトリガーポイント注射がすなわち深腓骨神経ブロックであった

症例は22人、2人だけがこむら返りの再発があったために再度治療してその後症状は出現しなかった

となっています。

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ここに1%塩酸メビバカイン+0.5mgリン酸デキサメタゾンを注射します。この論文はかなり古く私が読んだ医師向け雑誌では症例数は32人に増えていました。

この治療方法、この論文ではEBMとは言えないが、結果的に効果があったよ、と報告しています。でも鍼灸師さんの世界では太衝というツボに鍼を刺すことで、足がつる症状を治療することが可能であると知られていたと知人の鍼灸の先生は言っていました。

この裏技を使ってから試合に出ればいいんじゃないでしょうか?

医療はエビデンスにしたがって治療することが基本中の基本であると常々考えている私ですが⋯おばあちゃんの知恵的な民間療法は嫌いではありません。

「しゃっくりを止める方法」一発で治すことができるのはどっち?医学的治療vs民間療法

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この足がつることに関するエビデンスはないけど確かに効果ある治療方法のメカニズムを考えて見ました。ちなみに足がつる、いわゆるこむら返りになる原因として細胞内のカリウムイオンとナトリウムイオンのバランス崩れが西洋医学的な説明です。一般的にはストレッチが効果的とされているようですが、じゃあなんでプロ中のプロが試合中に足がつっちゃうのよ。

足をつるのを予防して試合に勝とう❗

このブログ、実は本日未明に行われる2018年ワールドカップロシア大会でベスト16に進出した日本チームが赤い悪魔ベルギーと試合になるのを待ちながら書いています(眠いけど、試合を待つのに本を読んじゃうと眠ってしまいそう)ので、多分誤字脱字、理論的は破綻もあるかもしれません。

でも、試合中に足がつったらそれこそイタタですから、試合前に深腓骨神経ブロックをしちゃうなんて方法はいかがでしょうか?局所麻酔ですからドーピングにも抵触しないと思います(ああ、オリンピック向けのあの分厚いドーピングに関する本、クリニックのどっかにあるはずなんだけど)。リン酸デキサメタゾンはステロイドですが、ドーピングで問題になる蛋白同化ステロイド(いわゆる筋肉増強剤)じゃないからこれもクリアかな?

あっ、今スッゲーまずいことが頭に浮かびました。万が一、ワールドカップ日本代表メンバーの誰かが大事な場面で足をつったとしたら⋯おい❗お前なんでこの足をつるのを予防する治療方法をもっと前にブログでアップしなかったんだよ、なんてことを言われる可能性も出てきちゃいます(泣)。

タイトルのなぜスポーツ選手は足をつるんだろう、の回答ですが⋯持っているスペック以上あるいはスペックギリギリまで体を酷使するからなんでしょうね、多分とスポーツ音痴の私は考えております。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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