衝撃❗パスタは食べても太らない⋯それ本当に信じていいの???

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先日、ニューズウィーク日本版に「パスタは食べても太らない」という記事が掲載されました。パスタ好きな医師である私は単純にわぁーい❗と喜んだのですけど⋯元となった論文をざっくり見てみると、アレアレっ、これってちょっと変じゃないのといくつかの疑問点が出てきちゃいました。

パスタは食べても太らないという論文に対する疑問点

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https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/04/post-9882_1.php

ニューズウィーク日本版と言えども商業雑誌なんで、元の論文までチェックするのも大人げないかも知れませんけど、身についてしまったクセなんで。

ちょうど本日、 最も「信頼できる」メディアは?――1位テレビ、2位ネット、3位新聞という結果に なんて記事も目にしたので、ネット情報、特に医療健康関連記事の信頼度は高くあるべきだと思います。

今回のニューズウィークの

パスタは食べても太らない説の根拠となっている理論がGI(グリセミック指数)、GI値です

このGI値はよくダイエット関連記事で目にしますよね。ある医学論文によればGI値って健康とはあんまり関係ないんじゃないの、との結論に至っているものさえあります(例えば「Effects of High vs Low Glycemic Index of Dietary Carbohydrate on Cardiovascular Disease Risk Factors and Insulin Sensitivity」(JAMA. 2014;312 (23) :2531-2541)。

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GI値が高くても低くても血圧やコレステロール、そしてインスリン感受性には影響無かったそうです。

果たしてパスタを食べても太らないし、さらにダイエットの手助けになるか?

残念ながら ニューズウィークの記事ではパスタは食べても太らない説の一次ソースは記載されていません

余計なお世話でしょうけど、そこでいくつか思いついたキーワードで検索してみるとこんな論文があり、間違いなく一次ソースとなったものです。

「Effect of pasta in the context of low-glycaemic index dietary patterns on body weight and markers of adiposity: a systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials in adults」(BMJ OPEN これどなたでもアクセス可能です)。この論文を元にしたニューズウィークの記事は

パスタと体重の間に「食べると太る」という相関関係があるかどうかを確かめるため、研究チームは延べ2500名近い被験者を対象に32回の比較試験を行った。

そして

被験者の体重やBMI(ボディマス指数)、体脂肪、胴囲を計測したところ、パスタを食べても体重や体脂肪率の増加にはつながらなかった。それどころか、3カ月の実験期間中に、被験者の体重は平均で0.5キロ減少した

と報じています。

まあ、太りはしなかったとしてもダイエット効果が0.5キロじゃねえとのご感想もあるかと。

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ニューズウィーク日本版の本家本元 (http://www.newsweek.com/pasta-weight-loss-869178) はパスタを食べると体重が落とせる❗って感じのさらに過激な動画が挿入されています。

論文の最後に気になる言葉が⋯

私が気になったのは一次ソースである医学論文の最後の方に書かれた「Competing interests」です。Competing interestsは利益相反という意味で今ではどのような論文であっても(まともな物に限られるかな?)表記する必要があります。私が参加するレベルの気軽な勉強会であっても、パワポでこの研究はどこかの企業等のバックアップを受けたものじゃないです、って述べることが多いです。

万が一利益相反(Conflicts of Interest 略してCOI)を隠して後でバレたら大事になってしまいます。

さて今回のパスタは食べても太らない説の論文のCOIはこんなことになっています❗

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まだまだ続きますので、全文は元ネタでご確認ください。めちゃくちゃ複雑な利益相反の中に有名企業の名前を見つけることもできますよ。こうなっちゃうとこの一次ソースとなった論文自体も痛くない腹を探られてしまうのです(探っているのは私だけどね)。

権威ある医学誌に掲載されたからといって、全面的に支持しちゃダメ

医療健康関連記事は特に内容の正確さが求められています。今回、メディアの信頼度がテレビ、ネット、新聞の順になっているというタイムリーな記事とちょっと前に見つけた権威ある信頼度が高いと考えられるニューズウィークのパスタは食べても太らない記事を俎上に載せて見ました。

さらにできる限り一次ソースを確認することの大切さそしてクオリティが高いとされている医学誌であっても、最後の最後まで読まないと、ある一定方向の結論が最初から設定されている可能性もあることを多くの人に知ってもらいたいと思います。一般の方にとって非常にメンドくさいことになりますから、そこで不肖の身ながら私がそのお役にちょっと立てればなんて考えてブログを書いているわけなんです。

なお、この「パスタは食べても太らない」論文の結果が間違っているよ、と私は伝えたいのでは無いことをご理解ください(実は詳細はまだ読解中)。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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