なんとなーく乳酸菌って体に良さそうで、乳酸菌飲料やヨーグルトの売り上げは日本ではぐんぐん伸びています。
なになにを食べればこんな病気が治る⁉って感じの風潮に違和感を持っているために、時々ブログでチクチクやっていました。ところがどうも乳酸菌飲料(正確には乳酸菌添加牛乳)を飲むことで、妊婦さんの妊娠合併症を予防する効果が確認されています。
乳酸菌が花粉症に効くとは限らないし、リスクもあるんだけど⋯
先日、安易にヨーグルトを食べちゃうとこんなこともあるんだよ、とこんなの書きました。
ええっ、思われた方も多かったようですが、これは日本で起きたホントのことです。
また花粉症の時期になると乳酸菌飲料やヨーグルトのCMが増えるような気がしていたので、本当に乳酸菌が免疫系に影響を与えるのか、ちょっと懐疑的だったのでこんなのも書きました。
ヨーグルトとか乳酸菌飲料って美味しいから食べる派の自分としては今回の乳酸菌飲料を飲めば妊娠合併症を予防できるとの乳酸菌称賛的な情報もお伝えしておきます。
プロバイオティクスを摂取すると妊娠合併症予防になる
ヨーグルトや乳酸菌飲料やサプリのCMで見かけることのある「プロバイオティクス」、これの定義ご存知でしょうか?この定義は単純かつ明瞭でプロバイオティクスとは人体に良い影響を与える微生物、以上いわゆる善玉菌ってやつです。善か悪かは人間が勝手に決めたものであり、微生物君たちにとって言いたいことは山ほどあるでしょうけど(そうそう、微生物と会話しちゃうヘンテコな人いましたねー)。
本題に戻ります。「Timing of probiotic milk consumption during pregnancy and effects on the incidence of preeclampsia and preterm delivery: a prospective observational cohort study in Norway」 (BMJ Open. 2018 Jan 23;8 (1) ) という医学論文で
プロバイオティクスミルクは妊娠合併症を予防することが報告されています
対象者はノルウェーの妊婦さん700179人。妊娠前、妊娠早期、妊娠後期にプロバイオティクスミルクを服用した場合、妊娠合併症の一つである妊娠高血圧症と早産の関連を調べました。その結果妊娠後期にプロバイオティクスミルクを飲むと妊娠高血圧腎症のリスクが下がったことと妊娠早期にプロバイオティクスミルクを飲むと早産のリスクが下がったことが確認されました。
この調査、残酷な点が少々あるんです
私がブログで時々イジっている「意識高い系」および「丁寧な生活」というネタがあります。
意識高い系の解釈については諸説あります。私は深く考えないで与えられた情報を鵜呑みにして「私ってそん所そこらの人とは違うのよ❗」って思考回路、行動パターンの人を意味して、本当に意識が高い人とは分けて考えています。丁寧な生活、というのはなんでもかんでも手間暇かけりゃ偉い、何でも手作りが良い、価値があるという合理的じゃない生活を送ろうと試みている人々です。
今回、ノルウェーの研究でプロバイオティクスミルクをの飲んだ人は高所得で教育歴が長いことがわかっています。ということは妊娠合併症を予防するなら、経済的に困窮しているとダメ、高校はもちろんのころ大学進学は当然、できれば大学院も出た方が良いとの低学歴だとダメ、との残酷な真実(橘玲さん風)ってことになってしまいます。
このような傾向が明るみになると、「意識高い系」および「丁寧な生活」方面の人たちは妊娠するとこぞってプロバイオティクスミルクを買い求めるんでしょうね、そして乳酸菌飲料が溢れる食事風景をSNSに投稿というお約束実行するのかなあ。
鵜呑みは危険、短絡的な思考はダメだよ❗
このような結果が論文があると「妊娠合併症予防効果がある乳酸菌飲料、医学論文にも掲載されました❗」的な記事が、いわゆる新米ママ系健康情報サイトに掲載されがちです。この論文も若干のツッコミどころがあります。まず、調査はアンケート方式であること。さらに妊娠高血圧の原因は様々考えられ、生活習慣も多様ですからプロバイオティクスミルクの摂取のみが妊娠合併症を予防しているとは限りません。つまり相関関係であるだけで、因果関係であるとは言えないのです。
素人ライターさんにとっては非常に書きやすい「妊娠合併症を防ぐには乳酸菌飲料を」ですが、すでに拡散されている可能性もあります。健康関連情報はとにかくネットで検索されることが多いですし、SNSでも回ってきますよね。与えられた情報を鵜呑みにするのではなく、ひと手間かけて懐疑的な見方も必要だと思います⋯これじゃ、丁寧な生活か(笑)