西洋医学どっぷり、ってわけではないのですけどなぜか漢方薬に対して冷たい態度を取ってきた私ですが⋯新年を迎えるにあたって、今までの考え方を改めなければならない事態が発生しました。
効果効能を疑ってきた漢方薬さま、ごめんなさい
年末年始にだらしない生活にどっぷりハマり、今までにない体調不良を経験してしまいました。日夜、AmazonのファイヤーTVスティックのリモコン片手にプライムビデオを観まくる生活、もう一方の手にはビールの入ったグラス。風邪を引いた時くらいお酒飲むのはやめなさい、との家人の言葉に反抗するかのように積み上げられる空き缶(ビン・缶収集日には出すのが恥ずかしいくらいてんこ盛り)。
これじゃあ、風邪もなかなか治らないでしょうし、もともと弱い胃腸がガタガタで当然ですね。手持ちの胃腸の薬(もちろん、クリニックで処方している所謂西洋薬)を色々と試したのですが、一向に症状が軽快しません⋯まあ、飲酒を続けながらの治療ですから当たり前かもしてませんけど。
そこで、以前話のネタ的に試したことのある漢方薬であるツムラ大建中湯の服用を開始しました。
するとあら不思議、お腹の痛みも排便の様子も見事に改善したのです。
ツムラの漢方薬の売り上げは副作用が無いと一般的に考えられていたのに、重篤な副作用が報道されて一時期落ち込んでいましたが、今では回復基調です(https://www.tsumura.co.jp/ir/business/08/)。副作用が無いと思って安易に処方あるいは服用するとリスキーですよ、と伝えたくて今までブログで漢方薬をいじめてきまいした。
ツムラ大建中湯のエビデンスを探してみると⋯
エビデンスを提示せよ❗って頑なに言い張る派ではないと自分のことを分類してはいるのですが、論争となると「エビデンスは?」と言いたくなってしまう傾向は認めます。
私は素人さん相手に「エビデンスを提示せよ」って言って、相手が提示できないと英文の医学論文を晒して、参ったか的な手法はあまり好みません。
私は子供の時からお腹が弱いとの認識を持っていたので、様々な胃薬、特に胃酸分泌抑制剤があるプロトンポンプ阻害剤(PPI)やH2ブロッカーを常備薬的に服用していたのですが、今回は一向に効果がありません。そこである程度エビデンスがあると言われていて、以前に服用してそれなりの効果があったツムラ大建中湯の服用を始めたのです。ちなみに、この大建中湯はツムラの医療用漢方製剤ではナンバーワンの売上高を誇っています。
これちょっとデータ古いですが、大建中湯の売り上げがトップであることには変わりはありません。
大建中湯の効果・効能としては「腹が冷えて痛み、腹部膨満感のあるもの」が添付文書には書かれています⋯西洋医学を学んだ者としては不定愁訴じゃん、なんて感じてしまいます。実はこの大建中湯はそれなりにエビデンスがあるんです。例えば「Daikenchuto, a traditional Japanese herbal medicine, for the maintenance of surgically induced remission in patients with Crohn’s disease: a retrospective analysis of 258 patients」(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4097200/)ではクローン病に対する効果が研究されていますし、「Effect of daikenchuto (TU-100) on gastrointestinal and colonic transit in humans」(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20378829)では、小腸における輸送能の亢進と大腸の輸送能の有意な亢進が確認されています。
私の場合は腸の輸送能力が改善することによって腹部膨満感が解消されて、なんとなーくお腹の調子が悪いのが治ったのでしょうね。でもよくよく考えると私の症状って便秘ではなく、お腹が膨れた感じと排便してもスッキリしないし、何回も便意を感じてしまうというどちらかというと下痢的なモノだっただけど⋯となると前者の論文であるクローン病類似の症状改善効果だったのかな?
ひょっとして効果があったのは違う漢方薬だったかも(汗)
大建中湯ってしっかりとエビデンスがあり、さらには漢方薬をあまり好まない私が試して効果があったので、今後患者さんに処方するかを検討していたら⋯以前服用した漢方薬って大建中湯じゃなかった疑惑が生じてしまいました。
ブログを書きながら薬を保管していある箱をゴソゴソいじっていたら他の漢方薬が出てきました。その漢方薬は同じくツムラの製剤で「六君子湯」です。
この六君子湯の効果・効能を見てみると「体力中等度以下で、胃腸が弱く、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすく、貧血性で手足が冷えやすいものの次の諸症:胃炎、胃腸虚弱、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐」となっています。私の今回の症状は年末年始のダラダラ生活による胃腸の不調、食欲不振、嘔吐感が主なものでしたので、大建中湯の漠然とした効果より六君子湯の方がピッタリ。ってことは大建中湯が効いたと思ったのはプラセボだったのかな?