見つけちゃった→医師による保険薬の適応外処方?ヒルドイドを化粧水代わりとお薬手帳に明記❗

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先日より私は世界的に優れている国民皆保険制度を財政的に危うくさせている「処方薬の適応外処方および適応外使用」についてガタガタ文句を言っております。医師が処方する薬、いわゆる処方薬を患者さんに出す場合には健康保険の使用が認められる病気名が限られています。

例えばアトピー性皮膚炎にともなう皮脂欠乏症に対して処方される「ヒルドイド」という塗り薬が美容液・化粧水代わりとして健康保険を適用して処方されていることが問題となっています。「怒号飛び交う「ヒルドイド逆ギレおばさん」、どうして処方してくれないのよ❗

健康保険を使用しないで自費なら良いのでは、という考え方もあります。しかし、厚生労働省によって承認されている以外の使用を目的として処方された場合、万が一副作用が出ても、国の救済制度である「医薬品副作用被害救済制度」も使えない可能性もあります。「【国難】健康保険制度破たん寸前❗「肝斑治療にトランサミン」これは適応外処方だし、こんなリスクも❗

今回、健康保険の適応外処方と適応外使用を推奨するような記事とリアル処方箋を見つけちゃいましたので、これって正しい医療なのか、多くの方に考えてもらいたいと思います。

メタボ予防に糖尿病治療薬を処方⁉

健康保険で薬が処方される場合、病気の予防に処方しておくね、ってのは基本的には禁じられています。同じように検査もこんな病気が心配だから念のために血液検査をして欲しい、こんな場合も本来は健康保険の対象にはならず100パーセント医療費を自己負担してもらうことが健康保険制度の正しい運用方法です。

しかーし、週刊ポストの2018年1月5日号の「各分野の名医8人が飲み続けている薬飲むのをやめた薬」に驚くような医師の話が掲載されています。糖尿病専門医である某医師は

今もメタボや糖尿病の予防のために飲んでいるのがSGLT2阻害薬です

と述べています(P62 これ実はネットでも読むことできます http://www.news-postseven.com/archives/20171226_638916.html)。

画像

糖尿病治療薬であるSGLT2阻害薬を堂々とメタボ予防に飲んでいると述べる医師

「先生、運動しても食事を制限してもお腹の贅肉が落ちないんです。SGLT2阻害薬処方して下さい」と言われたらサクサクと処方しているのでしょうか、それも健康保険を使用して。「いや~、これは糖尿病じゃないと健康保険じゃ処方できないよ」って返答しているとしてもこの記事を読んだ読者は医療機関に「メタボ予防にSGLT2阻害薬処方して下さい❗」って殺到する可能性があります

メタボ予防は保険適応外だから自費だよ、と医師が患者さんに答えたら多分ヒルドイド同様「キーっ❗」ってブチ切れる患者さんも出てくるでしょうし、「他の医師は処方してくれたのにケチっ❗」ってネットの口コミサイトに書き込まれる可能性もあります。基本的にオッサン向けの週刊誌ですから、取材した医師が言いたかったことが十分理解できていない記事であったことを祈りたいです。

堂々とヒルドイドを化粧水代わりに使用して、と処方していた医師見っけ❗

処方薬であるヒルドイドを化粧水あるいは美容液代わりにに使用している患者さんが多数いることを前掲のブログで書きました。もし副作用が出ても医薬品副作用被害救済制度が適用されない可能性もありますが、自費ならOKではないか?とのご意見も多数頂いています。新聞等のメディアでこのヒルドイド問題が取り上げられても、いまだに

健康保険を使用して美容液代わりにヒルドイド処方している医療機関があるとの情報を得ました❗
を私のブログの読者から頂いた画像がこれです❗

画像

薬が処方された時にお薬手帳に薬剤師さんが貼ってくれたものです。ここに記載されている「ビーソフテンローション0.3%」、これはヒルドイドにはジェネリック(後発品)です。これを処方した医師はかなり不思議なことをやっており、同成分であるヒルドイドローションも同時に処方しています。さらに下の方には「ヒルドイドソフト」も記載されていますが、他の薬も書かれていて処方を受けた患者さん個人が特定されないために、画像の下半分は掲載いたしません。

薬価が低いビーソフテンローションをヒルドイドローションと同時に処方することによって、健保連などの財政負担を考慮したためと解釈したいのですが(嫌味かな?)⋯しかし、この処方箋を受けた薬剤師さんも気の毒です。先発薬と後発薬を同時処方する医師に対して、疑義の電話問い合わせって立場上かなり勇気が必要ですから。さらに明らかな適応外処方の指示に対しても「先生、この処方はダメです」って言いにくいでしょうね。この患者さん、

使用箇所は「顔」だけなのに、ヒルドイド及びヒルドイド類似薬が合計で250グラムも処方されていたことも書き加えておきます。

なぜ医師はこのような処方をしてしまうのか?

以前NHK「ガッテン」が「ベルソムラ」という不眠症改善薬が糖尿病を改善するかのように取り上げて医療現場が混乱に陥ったことがありました。

睡眠薬で血糖値をコントロール⁉NHK「ガッテン!」がまたやらかしちゃいました❗

睡眠薬で血糖値をコントロール⁉NHK「ガッテン!」がまたやらかしちゃいました❗

薬の予想外の効果や極々稀に見られる副作用をセンセーショナルに取り上げるメディアの問題は今回は論じません。しかし、メディアにそんなこんな話をしてしまう医師もいること、そして適応外処方であると認識しつつ処方を継続する医師もいます。台湾では保険証がICカードになっていて、薬の投与履歴が記録されているそうです(これは伝聞なんで間違っていたら失礼)。医療費削減を目指すならまずはシステムの見直し・システムの導入が急がれるのでは、なんて生意気なことを考えている今日この頃です。

追記2018年10月19日 やはりヒルドイドは問題になっていることがYahoo!ニュースに掲載されました。

ヒルドイド乱用問題再燃❗患者さんも患者さんだけど、目的外処方する医師がまだいる模様。

ヒルドイド乱用問題再燃❗患者さんも患者さんだけど、目的外処方する医師がまだいる模様。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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