インフルエンザ予防接種をしない人に提案があります。

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近藤誠氏がインフルエンザ流行の季節に「ワクチン副作用の恐怖」(文藝春秋)なんて本を出して、医学界から大顰蹙をかっています。

多くの人がこれを信じ込んでしまうと、自分がインフルエンザに罹患するだけじゃなくて、家族や学校・会社でもインフルエンザ集団感染の危険がでてしまいます。

インフルエンザの予防接種は当然だけど、これを気をつければさらに効果的

いくらワクチン接種したくても、アレルギー等の問題で一部の人はインフルエンザ予防のためのワクチン接種ができません。インフルエンザという、最悪の場合は死に至る感染症を防ぐための基本はワクチン接種であり、感染した場合は他の人に移さないように外出を控えるべきです。実はインフルエンザが流行したとき、どのように感染が拡大していくかを明確にした研究は多くありません。なんとなくわかっていることは多くの人が集まる場所にインフルエンザに感染した人がウイルスを撒き散らしている可能性です。多くの人が集まるとインフルエンザ感染が拡大することを示唆する研究結果がでました。

インフルエンザ感染拡大を防ぐには、宗教行事に参加しない

ことが必要なようです。日本の場合は

インフルエンザに罹りたくなければ、初詣はやめよう❗

なんて顰蹙を買いそうなことも、この研究結果を参考にするとあながち間違いでもなさそうです。

インフルエンザと宗教行事の深い関係

インフルエンザの感染経路を考察した論文は「Religious Festivals and Influenza」(https://arxiv.org/abs/1710.09689)で詳細をダウンロードすることが可能です。この研究はイスラム教の巡礼やユダヤ教のお祭りの時期とインフルエンザ感染拡大の関連性を調べています。

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https://arxiv.org/pdf/1710.09689v1.pdf ユダヤ教のお祭りであるハヌカーは11月あるいは12月に行われます。イスラム教の巡礼はサウジアラビアのメッカに行くものですが、イスラム歴の12番目の月と決められていますが、年によって若干ズレが生じますが10月の終わりくらいのことが多いようです(厚生労働省検疫所による)。

サウジアラビアはインフルエンザ感染に関する疫学データを公表していませんので、この研究者たちは周辺の国であるエジプト・バーレーン・イラク・カタール・ヨルダン・オマーンのデータを元に感染状況を把握しました。グラフからハッジやハヌカーの季節にインフルエンザ感染者が急増することがグラフから読み取れますね。

日本の場合の宗教行事⋯初詣とインフルエンザの関連はどうなっているか?

日本の宗教行事(多くの人は宗教とは意識していないでしょうけど)で一番人が集まるのは初詣で間違いないと考えます。このグラフは少し古いものですが、見やすいので掲載します。

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東京都感染情報センター「インフルエンザの流行状況(東京都 2012-2013年シーズン)」より 1月がインフルエンザ感染者が飛び抜けて多いことがわかりますね。

ユダヤ教のハヌカーは家族が集まって行う宗教行事⋯これは冬休みで家族が集まる日本の状況を同じと考えられます。イスラム教のメッカでの巡礼、特に大巡礼と呼ばれるハッジは数百万人が集まります⋯これって日本の初詣と同じじゃないでしょうか?

インフルエンザワクチンを接種しない人は初詣は控えたらいかがでしょうか?

近藤誠氏以前から理由なき、非科学的理由からワクチンを毛嫌いしている一派が存在します。彼ら彼女らは昔々のインフルエンザ感染が特定できない時代の前橋レポートを持ち出して、疫学データがインフルエンザの予防接種が効果がないことを証明している、なんてヘンテコなことを言い出します。

ワクチン否定論者は感染症の恐ろしさを理解していない様子ですから、当然インフルエンザの予防接種も忌避しているはずです。

インフルエンザの予防接種をしていない人は初詣に行かないようにしてください

なんてことを本当は言いたいのですが、信仰の自由を奪うな的な反論がでそうなんで⋯。

反ワクチン派はインフルエンザワクチンを拒否する理由を述べよ❗

反ワクチン派の非科学的・非医学的見地は全く理解できません。インフルエンザワクチンが有効ではない、との主張は疫学的に否定されていると考えて間違いありません。反ワクチン派の人が持ち出す、インフルエンザワクチンには水銀が含まれているから、自閉症や発達障害になる⋯これも全く間違いです。水銀だあ、水銀だあ、と騒ぐ人がいますが、

インフルエンザワクチンに含まれるチメロサールはエチル水銀であり、毒性が明らかであるメチル水銀とは別物です

さらに今ではチメロサールが含まれていないインフルエンザワクチンもあります。

医師がワクチン接種を推奨するのはインフルエンザワクチン接種で儲けるためだ、なんてことを主張する人もいますが、ビジネス的にはワクチン接種は非効率的で利益は少なく、逆にインフルエンザに感染して来院してくれた方が遥かに利益がでます。

インフルエンザワクチンの有効性を述べ、重篤な副反応は稀であり(関連性は明らかになっていません)、インフルエンザ予防接種を訴える厚生労働省の見解に対して、巨大製薬会社と厚生労働省と医学界の癒着だあ、巨大利権だあ、陰謀だあ❗と意味不明のご意見をお持ちの反ワクチン派の方々もいらっしゃいます。

陰謀だあ、って騒いでいる人の方が陰謀論にどっぷりはまっていると感じるのは私だけでしょうか?

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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