私もかなり老眼が進んできたために、家族・知人がブルーベリーのサプリだとか、ブルーベリーよりアントシアニンがたっぷり入っているとのふれ込みのビルベリーのサプリをプレゼントもらう機会が増えました。
本記事の内容
衰えた目に効果があるとされるブルーベリー、ビルベリー⋯伝言ゲーム的都市伝説だよ❗
自分でもブログネタになるかと思いつつ、某サプリメーカーの商品を注文したことがあります。そのブルーベリーのサプリメーカーのサイトにこんな記述がありました。
ここにこんな記述があります。
イギリス空軍のパイロットはブルーベリージャムが大好物で、毎日パンにブルーベリージャムをたっぷりとつけて食べていました。そのパイロットが夜間飛行の最中に「薄明かりの中でもはっきりと周りの景色が見えた」という発言がきっかけとなり、イタリアやフランスで研究が行われるようになりました。
https://www.wakasa.jp/sozai/blueberry/alimentation/
これ面白い話なんで、以前少し調べてみたのですが、一次ソースらしきものが発見できません。先日、ある食に関するジャーナリストさんのツイートを読んで、再度いくつかの英語のキーワードで検索したら、かなり面白い話を見つける事ができました
結論的にはバイロットが食べていたのはブルーベリージャムでは有りませんし、ビルベリーでもありませんでした
多分、あるエピソードを聞いた米国のサプリメーカーあるいは広告代理店が創作した話がもとであり、その話を真に受けた日本のサプリメーカーが引用元不明の状態で喧伝した可能性があります。
食品関連の信頼たる方のブルーベリーに関するツイートにインスパイアされました
私が尊敬していいる食方面に非常に詳しい松永和紀さんというジャーナリストがいます。食に関する情報は疑ってばかりいる私ですが、松永さんのご意見は疑うことなく、100パーセント信頼しているくらいです(私としては非常に珍しい行動ですけど)。松中さんがこんなツイートをしています。
ブルーベリーが目に良い説の裏付けとなっていると考えられる「アントシアニン」は体内吸収率が低い上に、目に良いというエビデンスに乏しいと指摘されています。じゃあ、アントシアニンがブルーベリーよりたっぷり入っているとされているヒルベリーなら効果があるんじゃないか、と思われる方もいるでしょうけど、そもそのブルーベリーであろうと、ビルベリーであろうと英国のパイロットがブルーベリージャムを食べたところ、戦闘機乗りとして抜群の実績を上げていたことがきっかけです。
第二次世界大戦中の英国のパイロットがブルーベリージャムを食べていた、との話自体が実はかなり不自然なんです
これは最近のブルーベリーの生産量ですが、英国はベスト10にも入っていません。第二次世界大戦当時はさらに物資は不足していたでしょうし、わざわざ米国からブルーベリーを輸入していたとしても、多くはUボートに沈められていたんじゃないかなあ。
人参がブルーベリージャムになぜか入れ替わっていたパイロット伝説
調べているうちにこんな記事を発見しました。
「Does Eating Carrots Improve Your Vision?」(http://www.snopes.com/food/ingredient/carrots.asp)ではこのような話が書かれています。
第二次世界大戦中に英国空軍のJohn CunninghamさんがビタミンAを多く含む「人参」を食べて、優秀な戦績を残したとのこと
ちなみにこのSnopes.comというサイトは1990年代からネット上にあふれる噂や都市伝説の真偽を確かめることを行っていて、かなり面白い情報を得ることができます。
多分、なにがしかの食べ物によってパイロットの目が良くなったとの話はこの逸話が伝言ゲーム的に変化をしていったものと考えられます。
明るい所から暗い所に行く、あるいは暗い場所だとよく目が見えない症状がでる「夜盲症」という目の病気があります。原因としては網膜のロドプシンの欠乏であり、これはビタミンAを摂取することで改善できます(夜盲症だとパイロットとして採用されるか、という疑問は残りますが)。当時英国では人参を食べようというキャンペーンが行われていたようです。
ニンジンがいつの間にやらブルーベリーやビルベリーに伝言ゲーム的あるいは代理店やサプリ会社が意図的に話を間違って伝えたか、ねつ造した可能性がでてきますね。前掲サイト中にも書かれていますが、ビタミンAといえども視力アップ効果はないですから、ご注意くださいね。
ブルーベリーやビルベリーの主成分のアントシアニンとロドプシンの関係
ブルーベリーやヒルベリーが目に良いとされる成分はアントシアニンがタップリ含まれているのが、その理論的バックボーンです。しかし、松永和紀さんのいうように体内に吸収される率が非常に低いために、本当に目に良いかは医学的なエビデンスに乏しいが現状です。
人参 → ブルーベリー・ビルベリーに話が変わっていったのには、それなりの理由があるのでは、と私は考えました。
サプリ業界って風が吹けばおけ屋が儲かる方式のロジックを使用して、サプリの有効性を証明?することが多いので、火のないところに煙は立たぬ、の喩のように火が全くないところに煙を立たせるほどワキは甘くありません。
実はアントシアニンは網膜上でロドプシンという光を感じる物質の生合成に関与しています。先ほど書きましたが、このロドプシンの合成に人参に含まれるビタミンAも関与していますのでブルーベリーやビルベリーのアントシアニンはロドプシンを介してビタミンAつまり人参と繋がっているのです。人参すなわちビタミンAが網膜の機能改善というか夜盲症改善に効果があることは、エビデンスがありますが、口から摂取したアントシアニンが果たして網膜上のロドプシンへどのような好影響を与えているかは現時点でエビデンスに乏しいと言わざるえません。
アントシアニンやロドプシンをサプリとして服用してもねえ⋯
私の目の不調が果たしてロドプシンの生合成に問題があるのか、あるいは老眼ではなく白内障等の問題があるのかはまだ精査をしておりませんが、ブルーベリー系のサプリを摂取してもあくまでお客様個人の感想ですが、効果としてはいまのところなんの音沙汰もありません。まあ、アントシアニンがロドプシンの生合成に関わっているのは間違いないのですが、だったら純粋なロドプシンを摂取した方が良さそうですし、口に入れたロドプシンがそのまま網膜に達するかを証明しないとなりません。
というわけで今のところブルーベリーやビルベリーをサプリメントとして服用しても、目に良いとの医学的な裏付けは明確ではない、ってことは言い切れるようです。