前立腺生検

前立腺生検とは

前立腺がんの確定診断の為に行う病理組織診断検査です。
前立腺がん前立腺肥大症尿路の感染症などで上昇する血清PSA(前立腺特異抗原)値が4.0以上である場合を「異常値(注意すべき上昇)」とし、経過を観察します。
MRI検査や触診、PSA値の上昇速度、前立腺肥大症などの合併の有無などを総合的に判断し、「がんが疑わしい」場合に生検検査を施行します。
血清PSA値がたとえ1万まで上昇していても「前立腺がんの(強い)疑い」としか言えません。確定診断を下すにはこの生検検査が必須です。

五本木クリニックの日帰り前立腺生検

前立腺生検検査は、各施設により組織採取方法(経直腸/経会陰)、麻酔方法(全身麻酔/局所麻酔)などが異なっており、全国どの施設で受けても統一された方法というものではありません。各施設で生検精度の向上、患者さんの痛みなどを考慮し、最大限配慮した生検方法が検討・改良されています。

超音波診断装置 F37

製造販売元:日立アロカメディカル株式会社
販売名:超音波診断装置 F37

経会陰式立体前立腺生検の様子

経会陰式立体前立腺生検の様子

実際に使用する針の写真

こちらの針を用いて検査致します。麻酔により、ほとんど痛みは感じません。

五本木クリニックでは下記の方法を採用し、日帰りでなおかつ診断精度も総合病院に劣らないレベルで実施しています。

経会陰式立体前立腺生検

前立腺生検の方法としては、経会陰法および経直腸法の2法が主な方法です。両者を比較すると、がん検出率は同等ですが、出血・感染などの合併症の発生率は経直腸法の方が高いです。
理想的には両者を併用することが望ましいのですが、経直腸生検単独では進行の早いがんが見つかりやすい反面、腹側のがん病巣が検出しにくいこともあります。当クリニックでは総合的に判断し、経会陰式単独で行っています。
ただし、直腸診で腫瘤を触れる場合などには経直腸での追加狙撃生検も施行します。

局所麻酔

麻酔の方法には、全身麻酔と局所麻酔があります。総合病院では、1〜2泊の入院を前提に全身麻酔もしくは腰椎・仙骨麻酔をかけて行うことがほとんどで、短時間とはいえ尿道カテーテルの挿入を行うことも珍しくありません。
われわれが町医者として泌尿器科診療に携わっていて常日頃感じるのは、たとえ数日の入院であっても患者さんにはストレスとなり得るということです。
このようなことから当クリニックでは、患者さんの負担を考慮し、日帰りでの局所麻酔を行っています。もちろん、検査当日帰宅後から食事も可能です。

日帰り前立腺生検の流れ

前立腺針生検の適応と判断された患者さんには、まず当クリニックでの検査方法、起こり得る合併症などについて、文書を用いて説明をします。? 自宅で十分ご検討の上、納得していただいた患者さんには、検査予定日の予約をお取りいただきます。
検査当日は検査予定時間の30分ほど前にご来院の上、抗生物質の内服をしていただきます。

1)検査前の安全性の再確認患者さんの当日の内服薬、ご体調を確認後、診察台に仰向けに横になって頂き、心電図、血圧計、酸素モニターを装着させて頂き、検査前に今一度安全性を確認しています。
2)生検の準備問題なく生検を施行可能であると担当医が判断した後、生理食塩水の点滴を開始します。
※麻酔薬のアレルギーなどがなければまず安全な検査ですが、患者さんによっては過度の緊張により一過性の血圧低下を招くことがあり、万が一に備えて点滴針を留置させて頂いております(当クリニックではこれまで一例もございません)
その後、載石位(分かりやすく言えば妊婦さんがお産をする体位です)になって頂き、陰嚢を挙上しテープで固定させて頂きます。会陰部、直腸の消毒を十分に施行します。
3)前立腺超音波検査肛門から直径約2cmのプローブを挿入させて頂き、前立腺超音波診断、及び前立腺体積の測定を行います。
4)局所麻酔当クリニックでは前立腺生検の麻酔には局所麻酔を用いております。直腸-前立腺-精嚢に囲まれた範囲(左右各2か所)、会陰部皮膚-皮下組織、前立腺先端周囲のPAT エリアの各所に局所麻酔薬を注入します。各箇所にて局所麻酔薬を初めて注入する際に多少の痛みを感じることがありますが、その殆どは「ちくっとする」程度です。
5)経会陰式前立腺針生検麻酔が十分に効いていることを確認後、経会陰式に左右4か所ずつ、合計8か所を基本とし、検査前のMRI、超音波検査の所見から必要であれば追加狙撃生検を行っています。
6)止血の確認刺入部及び肛門からの止血を確認後、検査終了です。
経会陰式生検ですので、基本的には尿道、肛門からの出血は殆どないか、あってもごく軽度です。1時間程クリニック内でお休み頂き、医師によって尿の性状、ご体調の確認後に御帰宅可能となります。

受診前・受診後の注意点

受診前担当医より前立腺針生検の適応があると言われ、その施行にご同意頂いた患者さんには事前に全ての内服薬、既往歴の確認をさせて頂いております。(特に、抗血小板、抗凝固薬を内服されていらっしゃる患者さんはかならずその旨お伝え下さい。また、サプリメントの中にも、EPAなど、抗止血作用のあるものがございますので、サプリメントも含めて担当医へご報告下さい。
検査当日は、午前の検査の場合には、朝食は摂取することを控えて頂くようお願いさせて頂いております。午後の検査の場合には昼食を控えて頂いております。
受診後検査当日〜翌日にかけては御帰宅後もなるべく安静にして頂き、飲酒、長時間の入浴、過度の運動などは避けて頂いております。
事前にお渡しした内服薬(抗生物質など)を数日間内服して頂いております。

検査結果について

通常は検査後1週間で結果が判明します。1週間後に受診していただく際に、診察と併せて検査結果の報告をいたします。
悪性でなかった場合には、引き続き当クリニックにて直腸診、血清PSA検査MRI検査超音波検査などの画像検査にて経過を慎重に観察いたします。1度の検査で陰性だったからといって、「その後がんにならない」保証はないからです。

悪性だった場合には、当クリニックと連携している総合病院へ責任を持って紹介いたします。その後、紹介先での治療が一段落して落ち着いた際に再び当クリニックで体調の経過を観察することも可能です。

患者さんからのよくあるご質問

Q.局所麻酔とのことですが、痛くないか心配です

A.局所麻酔を注入する際には「鈍い痛み」を感じることもありますが、多くの方にとっては「耐えうる痛み」です。歯科医院での治療で麻酔薬を注入する際に感じる痛みと同程度です。

ただ、痛みの感じ方には個人差があります。直腸へ示指を挿入することにも強い痛みを感じる方には、総合病院へ入院の上、全身麻酔/脊椎麻酔での検査をお勧めすることもあります。

Q.検査を受けられない場合はありますか?

A.当クリニックでの前立腺生検は極めて安全性の高い方法ですが、重度の糖尿病や重い心臓病、呼吸器疾患のある方には総合病院での前立腺生検検査をお勧めしています。

Q.検査後特に注意することはありますか?

A.検査後1〜2日はアルコール摂取・激しい運動は控えてください。その他、特に制限はありません。

Q.検査後にすぐに帰宅しても大丈夫なのでしょうか?

A.当クリニックでの生検方法は極めて安全な方法である上、検査後も院内にて尿所見、全身状態を確認してから帰宅していただいています。まれに、偶発的に高熱を起こされることはありますが、その際には当クリニックまたは連携医療機関にて対応しています。

Q.検査は毎日行っていますか?

A.現在、毎週月曜日の午前中に行っています。検査後のフォローアップの患者さんの診察も同時間帯に行っているため、検査時間を考慮して診察時間を調整していますが、場合によってはお待たせしてしまうこともあります。

前立腺生検は予約制です。

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桑満おさむ医師

このページの文責:桑満おさむ(医師)
Osamu Kuwamitsu, M.D.

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区で五本木クリニックを開院。

患者さん1人ひとりのホームドクターになるという理念のもと、常に敷居が低くどなたでもお気軽に来院できるクリニックを目指し、とくに日帰り検査・手術に力を入れています。技術の向上はもちろんですがより新しい医療機器や治療方法・医学情報の提供につとめています。患者さんとの会話を大切にしています。

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