症状
陰部から肛門のあたりを会陰部と呼びます。ここには、前立腺や尿道など泌尿器系と精嚢など生殖器系の臓器や直腸があり、これらが病気になることによって痛みを感じたり他の症状が現れたりすることがあります。中には「股の付け根や股間が痛い」と表現される方もいます。痛み方としては、重い感じ、熱い感じ、ヒリヒリ、ピリピリする感じ、違和感・不快感があるなど、患者さんによってさまざまです。
会陰部の痛みに伴う他の症状として多いのは、時には高熱にもなる発熱、排尿時の痛みや灼熱感、尿が近い感じ、残尿感、腰痛、陰嚢の痛みなどです。症状は治療ですぐに治ることもありますが、再発を繰り返し、慢性的な痛みとなることもあります。
原因
会陰部痛の原因には、前立腺炎、精嚢炎、尿道炎などがあり、特に前立腺炎によく見られる症状となっています。前立腺炎は男性の25〜50%が一生に一度はかかる病気といわれ、中高年以上の方に多い前立腺肥大症と異なり10代からかかる可能性がありますので、決してまれな病気ではありません。細菌による感染が原因となる場合と、細菌が見つからない原因不明なものもありますが、慢性化すると治療が困難になる場合があります。おかしいと思ったら、すぐに専門医の診察を受けましょう。
精嚢炎や尿道炎の原因は主に淋菌やクラミジアであり、性感染症の1つです。また、頻度は多くありませんが、前立腺がんや直腸がんにより会陰部に痛みが出てくることもあります。
疑いのある疾患
前立腺炎
前立腺に痛みと腫れが起きる病気で、細菌感染が原因で発症するものと、原因が良く分からないものがあります。
症状として、排尿時の痛み、おしっこの回数が多い頻尿、尿が出にくい排尿困難、膣の出口と肛門の間の会陰部や腰、男性の性器や精巣に痛みを感じます。ゆっくりと発症して再発を起こす慢性前立腺炎と急速に進行する急性前立腺炎があります。治療としては、薬物療法、物理療法、手術療法が選択されます。
前立腺がん
男性のみにある前立腺にできるがんが前立腺がんです。もともと欧米に多い病気ですが、日本でも患者数は増加しており、社会の高齢化や、食生活の欧米化により高蛋白、高脂肪の食事が増えたことがその一因と考えられます。
病気が進行すると、尿が出にくい、排尿時の痛み、夜間におしっこの回数が多いなどの症状がみられることがあります。初期の特徴的な症状はほとんどありませんが、PSA検査という血液を採取する検査が普及し、早期のがんが発見されるようになりました。
精嚢炎(せいのうえん)
精液をつくっている精嚢に炎症が起きる病気を精嚢炎といいます。尿道から原因となる菌やウイルスが尿を通る方向とは逆方向に侵入し、発熱や陰部の痛み、射精痛(射精時の下腹部の痛み)が生じることがあります。
原因としては、結核菌、淋菌やクラミジアなど性感染症の原因となる菌、サイトメガロウイルス、マイコプラズマウイルスなどです。
尿道炎
細菌、真菌、ウイルスが尿道に入ることにより起こります。女性は尿道が短いため、膀胱炎を併発することが多くなります。
症状としては、男女ともに排尿時の痛み、おしっこの回数が多い頻尿、尿意切迫などが見られ、男性で性感染症である淋菌またはクラミジアが原因の場合は、尿道からの分泌物が見られます。通常、原因菌に合った抗菌剤や抗ウイルス薬で治療します。
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