前立腺がんを発見するためのPSA検査
目黒区でも区民を対象にした健康診断が始まっており、中に前立腺がんを発見するためのPSA検査というものが特定の方を対象に行われています。
良く検診・検診で前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSA,私たちは略してPAなどと呼びますが、それが基準を超えただけで「俺は前立腺がんだ」と思い込んでいる方が結構いらっしゃいます。
PSAは前立腺の大きさや炎症、年齢などによって影響を受ける検査ですので、思い込みは危険です。そこで前立腺がんとはどんな病気なのか簡単に説明していきます。
非常にゆっくり進行するがんです
前立腺がんはその元となるがんの赤ちゃんができてから、増殖して万が一死亡に至るとしても数十年かかります。一部の前立腺がんの赤ちゃんは最初から非常に悪性の動きをしますので、増殖を短時間で果たしてしまうことがあるので、PSA検査は必要です。
一般的にゆっくり進行しますので、50才以下の方で前立腺がんが発見されることは稀になっています。しかし、日本は世界にも珍しい超高齢化社会を迎えていますので、前立腺がんによる死亡者は残念ながら右肩上がりです。
・1990年 3500人程度
・2000年 7500人程度
・2009年 10000人程度 の方が前立腺がんで亡くなっています。
2020年には70000人の方が前立腺がんで亡くなるという予想もあるくらいです。
発生のリスクは
親兄弟が前立腺がんであった場合はハイリスク群と考えられますから、将来の為に40歳代からPSAの検査を受ける必要があります。
中には30歳代から注意した方がいいとの意見もありますが、50歳以上必須、40歳以上は注意、30歳代は特殊な場合とお考えください。高齢化以外に前立腺がんを増やしているリスク因子がいくつか考えられます。
遺伝
特殊な遺伝子が前立腺がんを引き起こすことが分かっています
一部の食事
欧米型の食生活が前立腺がんのリスクファクターとも言われています。乳製品のリスクが一時騒がれましたが、それに反論する形の論文もでていますので、乳製品というよりは飽和脂肪酸が関連している可能性があります。
人種差
有色人種は白人と比較して発生率が高まります。しかし、北欧地域は前立腺がんの発生が高いことで知られており、日光を浴びる時間に関係するビタミンDの影響が論文段階では指摘されています。
逆にリスクを下げるものは?
- 緑黄色野菜をたくさん食べる
- 緑茶
これはハワイの日系人と日本人を比較したデータで明らかになっています。
- 豆類
納豆などが悪いという論文は今の所ありません。
注意が必要なのはいかにも健康そうなビタミンEです。
以前はビタミンEは前立腺がんのリスクを下げると言われていましたが、最近逆のリスクを増やすという論文もでています。
食生活では豊富な種類の食べ物を適度に摂るというのが現時点での結論です。
サプリで前立腺がんのリスクを減らそうという考えはお薦めしません。
以上簡単に説明しました。ご心配な方は受診して直接医師にご相談ください。というのも前立腺がんと腫瘍マーカーの関係はその方の生活背景や症状などが非常に影響しますので、PSAの検査結果だけをご提示いただいても確定診断には至りません。