ドクター中松が公表した「前立腺ガン」は珍しい「前立腺導管癌」でした

前立腺がんが増えている

超高齢化社会に突入した日本では死亡原因は「がん、心疾患、肺炎、脳血管疾患」となっています。つい近年までは脳血管疾患が肺炎より多かったのですが、この理由も高齢化が主なものです。高血圧なら血圧の薬を、脳血管疾患なら動脈硬化を予防する高脂血症薬や脳梗塞予防薬を、肺炎ならある程度は抗菌剤や肺炎球菌ワクチンの接種によって防ぐことができます。となるとさすがのドクター中松も「がんにならない薬や生活習慣」の発明は難しかったようです。ドクター中松が闘病している病気は単なる「前立腺がん」ではなく「前立腺導管がん」と呼ばれる、かなり珍しい前立腺がんの中でも1%も含まれないような病気なのです。

前立腺導管癌の割合

生活習慣としてコーヒーを1日に4杯以上飲むと前立腺がんになりにくい、という論文もでておりますので、ドクター中松さんは前立腺導管ガンと診断され、さらに末期とのことですが医師とは違った目で治療の補助になるようは方法を検討してもらいたいです。

前立腺にできる導管ガン

以前は前立腺がんの中に含まれる「乳頭状腺がん」とも呼ばれていて、治療した場合には若手の医師が学会の地方部会レベルで症例レポートとして発表できるくらい珍しいものであったと捉えてください。ガンは心臓以外のどんな場所でもできてしまう可能性がありますので、ガンといっても色々なものがあるので全てのガンを検診で見つけることは不可能ですし、また予防することもかなり難易度が高くなってしまうのです。

末期と公表されたドクター中松の前立腺がんの治療

ドクター中松は「末期がん状態であり、余命1年半」と会見で述べていますが、余命にしてはかなり長いのでは、と思われた方も多いのではないでしょうか?前立腺がんの場合、ガンの中でもかなり進行が遅いのが特徴です。治療方法も手術、放射線治療、ホルモン治療、中には積極な治療は行わないで様子を注意深く観察してく方法まで多岐に渡っています。早期発見ができれば(血液検査で簡単に診断がつくPSA検査が有名です)、治療は決して難しいものではないのです。

残念ながらドクター中松の場合、どのような経緯でこの「前立腺導管ガン」が発見されたのかは不明ですが、尿検査で潜血反応がでたか、原因である導管から病巣が広がっていてPSAが高値を示したと予想されます。そこで前立腺がんの疑いを確定診断にするために行われる検査が前立腺生検です。

この検査で得られた前立腺を顕微鏡で覗いて病理学の先生が診断します(当院では医師に対してあまり「先生」という言葉は使いませんが、病理医は病気の最終決定をする責任重大な立場にありますので、尊敬の念をこめて「先生」と呼んでいます)。この確定診断で稀な「前立腺導管ガン」が発見されたのでしょう。

ドクター中松、ぜひ前立腺がんを克服してください

発明家であり努力を惜しまないドクター中松ですから、必ずや医師が見落としている治療法を発見してくれることを期待しております。末期という微妙な状態とのことですが、余命が1.5年も有りますので、なにか解決策を見いだしていただきたいと思います。医師は自分たちが学び知識として持っている医療が絶対と考える傾向があります。

柔軟な思考発想は奇異の目で見られがちですが、ドクター中松のおっしゃる意見には必ずや耳を傾けると思います。当クリニックにも東京大学泌尿器科に所属している泌尿器の専門医が複数いますので、彼らにも「患者さんの言う治療法なんて⋯。」などとは絶対に言わせないつもりです。遠隔転移をしていないことを願いますが、遠隔転移していてもホルモン治療が有効であると言う、報告もあります。さらに、根治治療には入りませんが、骨に転移しやすい性格もった前立腺がんですけど、放射線治療もある程度有効であるとの文献もあります。

ドクター中松、ぜひ次回の都知事選、あるいは衆議院選挙に元気な姿で立候補していただきたいと思います。

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桑満おさむ医師

このページの文責:桑満おさむ(医師)
Osamu Kuwamitsu, M.D.

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区で五本木クリニックを開院。

患者さん1人ひとりのホームドクターになるという理念のもと、常に敷居が低くどなたでもお気軽に来院できるクリニックを目指し、とくに日帰り検査・手術に力を入れています。技術の向上はもちろんですがより新しい医療機器や治療方法・医学情報の提供につとめています。患者さんとの会話を大切にしています。

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