尿の色は健康状態で変化します
尿は腎臓で血液をろ過することによって作られ、体の中の不要な物質を体外に排泄する大切な役割があります。健康な時の尿は透明〜薄い黄色ですが、健康状態によって尿の色が変化することがあります。
症状
尿の色の変化が1回だけのこともあれば持続的に続くこともあり、これは変化の原因によって異なります。例えば、汗をたくさんかいて脱水気味であれば、おしっこが濃縮されて色の濃い、茶色っぽいおしっこが出ることがあります。激しい運動後でしたらコーラ色、赤ワイン色の尿が出ることがあります。
おしっこの色が濃い、茶色い、褐色に見える状況が続く場合は、下記に記載している疾患の疑いがあります。
特に茶褐色の尿が出る原因としてさまざまな病気が考えられます。診断の手がかりとなるのは、黄疸、発熱、貧血、腹痛、吐き気、嘔吐といった褐色尿以外の症状があげられます。ですので、診察の際、医師に出来るだけ詳しくお伝え下さい。
疑いのある疾患
溶血性貧血
通常、血液中の赤血球の寿命は約120日ですが、赤血球の寿命が短くなったことで起きる貧血を溶血性貧血といいます。
原因はさまざまでまれな病気ですが、赤血球の破壊が重度であったり、急速であったりすると、軽い黄疸症状(全身の皮膚や眼球が黄色く染まる状態)が出ることがあります。壊れたヘモグロビンが処理されてできるビリルビンが尿中に漏れ出すことで、茶褐色の尿が出ます。
横紋筋融解(おうもんきんゆうかい)
横紋筋といわれる筋肉細胞が何らかの原因で一部分が死んでしまい、血液中に流れることで起こります。手足に力が入らない、手足がしびれる、こわばる、筋肉痛、全身がだるいなどの症状があらわれ、重度の場合は腎臓の機能が悪くなることもあります。
尿の色は褐色になり、原因としては、薬剤性(医薬品の副作用)、高い運動強度の運動、挟まれて傷になったものなどの外傷が挙げられます。
ポルフィリン症
人の赤血球中には、肺で取り入れた酸素を体の組織に運搬する、ヘモグロビンという蛋白質があります。
このヘモグロビンはヘムとグロビンという蛋白質が結合してできたもので、このヘムを合成する過程に異常があるとポルフィリン症が起こります。尿中にポルフォビリノーゲンが増加するため、褐色の尿になります。
薬剤性
センナ、センノシド(アローゼン、プルゼニド)などの下剤で尿が黄褐色〜赤色に、エパルレスタット(商品名 キネダック)という糖尿病薬で黄褐色〜赤色に、カルパゾクロム(商品名 アドナ)という止血剤で茶色〜黄褐色に変化するといわれています。
尿の色の変化がある薬を処方される時には、薬剤師から説明があります。
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